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逆転不可思議世界  作者: さいとうももこ
3/24

ランニング

 普段よりも一時間ぐらい早く目が覚めてしまった。

 二度寝するにも中途半端な時間だし、眠気もさめてしまった。



 カーテンを開けると眩しい朝日が部屋に入ってくる。こんないい日にランニングでもすれば気持ち良いだろう。

 部屋を漁りTシャツとハーフパンツに着替えて外で軽く柔軟体操をする。



「身体硬くなってるっぽいな」



 身体を動かすのも久しぶりだ。高校では帰宅部なので運動する機会は体育の授業ぐらいなものだ。時々ランニングするのも良いのかもしれない。



 柔軟を終え、ランニングを開始する。どこまで走るか決めてなかったが適当なところで切り上げれば良いだろう。

 男女の貞操観が逆転した世界とはいえ体力差なんかは変わらない。男の方が女より力は強いし筋肉も付きやすい。こういうところまであべこべになっていないのはありがたい。

 時計を確認すると走り始めてから三十分ほど経過していた。周囲を見渡すと昔よく遊んでいた公園がみえた。運動公園なので本格的なランニングコースや芝生広場、グラウンドなどがありかなり広い。早朝だがちらほらと走っている人を見かける。近ければここをコースにしても良かったが少し自宅からは遠すぎる。

 少しクールダウンを兼ねて公園内を歩きながら自販機へ向かう。水分補給は大事だ。



「もしかして圭太か?」



 自販機を前に何を飲もうか考えていると、背後からおずおずとした聞いたことがあるような声がかけられた。

 振り返るとランニングウェアー姿の同級生の姿があった。容姿端麗で少しきつめの印象を与える目は昔から変わらない。



「いろは……いや、夏目か。久しぶりだな」

「いろはでいいさ。圭太はなんでこんなとこにいるんだ?」



 夏目いろは。小、中学時代の同級生である。いろはは女子高へ進学したため離れたが、小学校の頃はお互いの自宅へ遊びに行ったこともある。そういえばこの辺りはいろはの家の近くだった。

 いろはは毎日この時間はランニングをしているらしい。たまたま目が覚めたからランニングしていたと告げると、偶然だなとほほ笑んでいた。大人っぽい雰囲気を持ついろはだが、笑うと幼く見えて可愛らしい。



「最近はどうだ? 元気にしてたか?」

「まぁ……そうだな。急に世界が変わって大変だが元気にはしてるぞ」

「なんだそれは。大げさじゃないか」



 俺にとっては大げさでもなんでもないのだが。

 久しぶりに会ったせいか近況の話をしているとお互い止まらなくなる。ちらりと時計に目をやると針は大分進んでしまっていた。そろそろ帰らなければ学校に遅刻してしまうだろう。



「悪い、そろそろ帰らなきゃマズい」

「もうそんな時間か。よかったらまた話をしないか? ライン教えてくれ」



 いろはとラインを交換する。高校に入ってからスマホを持ち出したので知らなかったのだ。

 スマホ画面を見るために近寄ると、ブラが透けて映っているのが目に入った。

 思わず視線がそちらに向く。シャツに張り付いているのは反則だと思う。下着が強調されて俺にはどうにも刺激が強い。如月ほどじゃないがたわわな膨らみが見えている。



「どうした? 顔が赤くなっているが」

「知らん。じゃあな」



 ぶっきらぼうになってしまったがフォローする余裕はない。意識してしまうと変なところまで反応してしまいそうになるからだ。そんな恰好では走れない。邪な目で見てしまったことを心の中で謝りながら、なにも考えないようにしながら全力でダッシュした。



 帰宅したときにはいろはからのメッセージが届いていた。

 可愛らしい絵文字を使っているのが少し意外だ。俺は絵文字や顔文字を使わないので無愛想な印象を受けるらしいが、どうにも肌が合わない。とりあえず返信しておくか。



 その後も何度かメッセージのやり取りがあり、今度のテストが終わったらいろはと遊びに行くことになった。楽しみがまた一つ増えた。この世界に来てから女の子との用事が増えている。なんとも嬉しい限りだ。


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