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語られることない話

 その日、佐山は、神社の階段を上っていた。

 長い階段を息を切らせながらも上り終え、古い社を見ると夜気の姿があった。


「……さて、俺に何か用かな?」


 相変わらずの屈託ない笑顔で微笑む夜気。対して佐山は夜気を睨んだ。


「よく言うわよ。今回の件の首謀者のくせに」


「……なんの事かな?」


「とぼけないで!今回の空に関する一連の出来事に決まっているでしょ!」


 首を傾げる夜気に佐山は叫んだ。

 そして、しばらくの沈黙の後、夜気は不敵に笑った。


「そっか、バレちゃしかたないね。で、いつから気づいていたの?」


「怪しいと思ったのはあなたが空の夢に興味を持ったときよ。普通、心当たりがなければ私みたいに夢だと軽くあしらうものでしょ」


「ああ、なるほど。やっぱり露骨すぎたか。でもそれだけなら好奇心……でも済むんじゃないかな?」


「ええ、そうね。私の気のせいたかとと思ったわ。でも、次に夢について三人で集まったとき。あなた、有栖が黒髪に変えた知っていて、わざと黒髪を書いていたでしょ。空は私を書いたと勘違いしたようだったけど、あのときから私はあなたを疑うようになった」


「ふーん、でもまだ疑っていただけでしょ?」


「ええ。でも、次に作戦名を作ろうといったとき、私は中学時代を思い出してうっかりルナと言ってしまったけど、あなたのルナティックという言葉を確信して使ったわよね」


「ああ、あれは佐山さんの見事なアシストに感謝しているよ。もっとも、あの後のわざと間違えて総合運動公園にしたのはいただけなかったけど」


「やっぱり。てことは総合運動公園に有栖を誘導したのもあなたの仕業ね。そして、ついでに居た山中達をけしかけたのもあなたでしょ」


「間違っちゃいないけど、けしかけたとは言い方が悪いなぁ。俺は山中君からちゃんと承諾をもらっていたし演技だったんだよ。だって、彼が中学のときに空を孤立させる原因を作った犯人だったからね。彼としては思っていた以上に大事になって言い出せなくなっていたみたいだけど、俺が今回の場を通じて償いの場を用意してあげたのに」


「じゃあ、今回の盗難も」


「ああ、空には思い出してもらう必要があったからね。もっとも、あの場で|星野(有栖)さんが名乗りでたのは想定外だったけど」


「じゃ、もしかして……」


「ああ、あのとき教室の人達の大半には協力してもらっている。だから今回の盗難事件もあっさりと何事もなかったように解決しただろ」


 驚く佐山に対して、夜気は不敵に笑った。

 そんなや夜気を佐山は再び睨む。


「でも、どうしてそこまで?」


「どうして?……あぁ、それは空に聞いていなかったんだね」


 夜気は納得したように頷く。


「俺がどうして二人にそんなことをしていると思う?」


「……信じられないけど……」


「夜気はこの神社の神様なんでしょ」


 佐山の回答に夜気は微笑む。


「ああ、鈍感なのか天然なのか。空は、あの後も気づかなかったけどね。知っているかい?盗難事件以降、空が神社を通いつめるようになり、空の事故後は今度は有栖が神社をほぼ毎日通っていたことに。まったくまいったものだよ。俺は別に運命の神様でもなければ恋愛の神様でもない。なのに二人は一心にやりなおしたいと何度も同じ事を願いながらも邪魔されて近づくことすらままならない。じれったくして仕方なかったよ」


 夜気がため息をつくと佐山と空の妹は納得したように頷いた。


「なるほど、じゃぁ有栖は人だったのね?」


 佐山の問いに夜気は不敵に微笑む。


「ああ、少なくとも今はね」


「今はって……」


 そこまで言いったとき夜気は佐山の口元を指でふさぐ。


「それでいいじゃないか。大丈夫、これからもそうだから」


 そういうと夜気は塞いだ指を離す。


「ひとつだけ、教えてあげよう。俺は願いを叶えるため来たんじゃない。叶わないはずの愚かしい願いに好奇心を抱いた。だからそれを好奇心の赴くままにやっただけ。言えば後はわかるよね?」


「男のツンレデ……」


「何か言った?」


「いいえ、何も」


「そう」


 夜気が微笑むと佐山は頷いた。


「他に何か聞きたいことは?」


 佐山はためらいがちに尋ねる。


「もう、何も起こらないの?」


 その問いに夜気は少し考えながら答えた。


「ああ、大丈夫。もう有栖が人の世に来たときに受けた加護……いや、君たちから見れば呪いかな。それはもう残っていないよ。もう有栖もそれに気づいているんじゃないかな。まぁ、人の子で命をかけてまでする馬鹿は一人で十分だけどね」


 その言葉を聞いた佐山はほっとして微笑む。


「まったくね。私もこれっきりにしてほしいわ」


「本当に。あ、それとこれは秘密ということで」


「わかっているわよ」


 お互いに微笑み会う、話を聞き終えた佐山は帰った。


エンディング 二 ダイヤモンドリング


 以下、作者の感想です。


 まず最初に、

 投稿開始から紆余曲折あり、一時は更新もとまって本当に申し訳ありませんでした。


 本作品はもともとゲームとして作る予定だったもので、マルチエンドを作って悩んでいる最中にまさかのプロット消失。

 再発見後、悩んだ末に物語のプロット選択を変更し、エンディング「二」を投稿しました。


 ちなみに当初投稿予定だった一のエンディングは、この物語では省いたお嬢こと佐山エピソードを加えたもので、佐山が悪堕ちしたふりをする健気なエンド。

 その他にもゲーム用としてエンディング三はそれぞれがバラバラになって失敗するバッドエンド。

 それらすべてを網羅すると、空が真実を知るエンド。といったものがありましたが、ゲーム製作が再開できていないので中止となると思います。(だったらなんで時間がかかったんだ。ほんとすいません)


 本物語は、動かなければ始まらないという所を描いてるつもりです。実際、覚えていないだけで実は同じ幼稚園だった、同じクラスだったといったことは、仲良くなると以外によくある話ですし、失敗という不幸も実は小説のよくある楽しい物語の始まりかもしれないんです。躊躇っている方にその背中を押せる小説のつもりで書かせていただきました。


 あれ?いろいろと書きたいことが多すぎたのかちぐはぐになってしまいました。すいません。


 最後に、この感想も含め、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。

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