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45/55

45:帝国はそれを看過せず

前回のお話

 

喪失料理に興奮するガートライト

ダルクヴェルとアイナクラィナ達

が闘技場で行動する中都市内は

ロイオンの命令で混迷を来す

そして彼らが動き出す

 

 

「えっ?こりゃあ!?」

 

 目の前にいくつものホロウィンドウとドアの前の青年を、交互にダルクヴェルは見やる。

 本来であれば認証システムがガチガチに設定された端末は、こんな簡単に解錠されるようなものである筈がないのだ。

 そもそも組織ドラフクープの中枢、幾つもの障壁が重ねられているだろうものが一瞬で解き明かされてしまうなど有り得ないことなのだ。(ダルクヴェルは自分がやろとした事を棚に上げて言う)

 そしてダルクヴェルは唖然としながらも、ホロウィンドウの画面を見やる。

 ズララと流れる情報デートゥは、ダルクヴェルにとって看過し得ぬものであった。

 

「………くっそ野郎共がっ!!」

 

 ドンっ!とどこにも突きつけられない憤りを、ダルクヴェルは机へと拳で表す。

 

「こりゃあ〜………さすがに見過ごせないレベルのものか………」

 

 ホロウィンドウの情報を垣間見ながらドアにいた青年が言葉を漏らす。

 そうこれは見過ごしてはいけない。

 ダルクヴェルとて海賊稼業などという表沙汰に出来ないことを多々やってきてはいたが、さすがにここまでは堕ち(やっ)てはいない。

 

 もちろんこの世界に小奇麗なだけのものだけなどと嘯くつもりもない。が、こいつ等のやってることは到底許せるものは言えなかった。

 そしてホロウィンドウに表示されてるものには、これから行われるとあった。

 もしこれが公権に知られれば奴等には破滅しかないのだが、これを知ったとしても今現在のダルクヴェルには何の手立ても見出すことは出来なかった。

 

 無為なる人間が死に至ることを止める手立てはダルクヴェルにはなかった。それ故に拳に顔面に悔しさを込めてしまう。

 その様子を見て心情を察した青年――――エルクレイドは、なんという事もないと言うように言葉を噤む。

 

「まぁ問題ないと思うよ?うちの艦長何気に優秀だから。それに―――」

 

 それにレイリン(かのじょ)が何とかしてくれるだろうと、エルクレイドは言葉には出すことなく心の中でそれをとどめる。

 ほら。

 ジョナサンズが出したホロウィンドウには、今現在のその様子が映し出されていたのだから。

 

 

 

 目標ダルクヴェルが入ったと思われるその施設は、闘技場という賭け戦闘バトゥレが行われている場所であり、もう1人の目標アイナクラィナ船務士長アレクスと共にいるという話でレイリンはそちらに合流するということでエルクレイドと別れ会場へと赴いていた。

 

 ………なる程。これを虫唾が走るというのだな。

 レイリンはそれを見て下唇を噛み締める。

 頭に血が上ってくる。こんなのはいつ以来だろうか

 レイリンは我知らず、その足を前へと進めた。

 

 

 

   □

 

 

紳士淑女ジェトリアアンドゥレィディアの皆様。これより皆様方のお楽しみの高峰の饗宴エレベリアコゥメンティラードを開催いたします!』


 黒のシルクハッテに燕尾服。そして片眼鏡モゥノクロマをかけた壮年男性が、舞台中央でライトを浴びながらそう声高らかに宣言をする。

 それと共に観客席からビリビリと空気をつんざくような歓声が響き渡る。


 アレクスは思わず耳を手で塞ぎそれを堪える。

 他の女性士官達も眉を顰めながら耳を押さえている。


「ふん!くっそ下らない事するじゃんか………」


 アイナクラィナ(かのじょ)は不敵に口元を歪めて歩を進める。

 ビリビリと放つそのアイナクラィナの雰囲気に、アレクスは制止することが出来なかった。

 それは他の5人も同様で、彼女の発するその覇気に呑まれてしまっていたのだ。

 そうアイナクラィナは怒っていた。怒髪天を衝くほどに。


『親を亡くせし哀れなる児童10人の姿をした人型模倣機械アンディアロゥド。そしてそれに対するは皆様お待ちかねの凶獣ヴィイイブロォオオンっっっ!!』


 燕尾服の男―――司会者エンテタイナァが朗々と両手を広げ歌うように声を上げる。

 すると観客席からはうおぉおおっ!という歓声がビリビリと痛い程に響いてくる。

 それは狂喜であり狂気であった。

 人々はこの場の雰囲気に乗せられ充てられながら、盛り上がっていった。


「彼らは変な薬でも飲んでるんだろうか………」


 アレクスは思わず客席の後方からその様子を見て呟く。

 そしてその狂気の中心たる舞台には、10歳ほどの少年少女10名が武器を構え、ソレに対峙していた。

 

 凶獣ヴィブロォン―――帝国内で危険生物Aランクという抹消対象の災害指定生物である。

 裏社会での利潤供与は見逃しても、流石にこれは看過し得ないという存在ものであった。

 ましてやそれを見世物にするなどあってはならない。

 人型模倣機械と紹介されたが、どう見てもあれは人間にしか見えない。

 

 だがアレクス等には、いくら訓練を経たとはいえかなりの重荷であるが故に、この状況を記録することしか出来ない。

 もしあの化物を相手どれる人間がいるとしたら彼女しかいないだろう、この艦のクルーでは。

 なんて事を考えていると、その当の本人げすたすたと目標アイナクラィナと共に舞台へと降りていくのが目に入った。

 

「はぁ……‥。お手並み拝見というところかな」

 

 アレクスは口元を緩め彼女―――レイリンを見ながらそんな古臭い物言いをして状況を見守ることにした。(まぁそれしか出来ないのだが)

 背後の5人の女性士官がそんなアレクスを見て、頬を膨らませて不満を顔に表していた。

 

 

 

「ん?」

「むっ?」

 

 レイリンが意識することなく階段を降り、一番下―――子供と抹消対象生物の場所まで辿り着くと、もう1人が同時に降りて来た。

 その事に訝しみながらも、視線は四つ脚の化物へと注視し逸らすことはない。

 眼前にはどう見ても人型模倣機械アンディアロゥドには見えない人間の子供達は、凶獣を前に戦意を喪失し足元にはポタポタと水溜りが作られている。

 

「はぁ………」

 

 こんな子供にこんな真似をさせる。レイリンの身体のあちらこちらに余分で過剰なものが入って来る。

 

「ねぇ?こいつの弱点って知ってる?」

 

 ふいに横にいる女性が、レイリンへと訊いてくる。

 さて。説明はできるが明確に正確に話す自信が全く無い。

 であるならば、こういう場合においては適任者に任せるのが最良ベターと思い、レイリンはかけていた2.5Dクラスを外して彼女―――アイナクラィナ・ムハンディへ向けて放る。

 

「わっ、っと!何?」

 

 かろうじてキャッチしたアイナクラィナは、行動不明の彼女へと問い質す。それに対してレイリンはひと言で済ましてしまう。

 

「それに聞いて」

「はぁ?」

 

 要領を得ない答えに訝しみつつも、2.5Dグラスをかけると目の前にメイド姿の女性が現れる。

 

『はじめまして、アイナクラィナ様。わたくしメイドのレイテと申します』

「あ、ども」

 

 見事な挨拶カァテスィに思わずアイナクラィナも頭を下げて礼を返す。


『では凶獣―――抹消指定生命体ヴィブロォンについて説明させていただきます』

 

 

 

    □

 

 

「ちっ!一体どこに行っちまったんだ?あの女は!」

 

 普段持ち合わせている貴族の仮面を捨てて、ロイオンは悪態を吐く。

 久々の上玉の登場に、なんとか己の領域テリトレーに誘い込もうとしてものの、あっさりと無視されあまつさえむしが現れ邪魔をされる。

 

 発信器を取り付け実力行使いつものてぐちを試みるも、逆に返り討ちに合う始末。

 出せるだけの兵隊じんいんを導入して捜索するも、現在までその足跡を辿ることが出来ないでいた。

 多少腕に自信があろうと、数に勝るものはない。

 みすみすあの上玉おんなを逃すという手はないとロイオンは舌舐めずりをした。

 

 こと女性関係となると意識がそちらに偏る傾向のロイオンだが、企業人としての彼は優秀であった。

 父親の代わりにあらゆる裏社会の仕事しのぎをそれまで以上に盛り立てていったからだ。

 合法非合法問わず手広くやっていたせいで、ほかの一家ファミルムとの抗争もなくはなかったが、力でねじ伏せ吸収していきこの都市での一大勢力となった。

 

 そして廃爵間際であった伯爵家と、無理やり婚姻を結び貴族となり(はくをつけ)現在この世の春を謳歌していたのだ。

 親父殿が貴族おもて社会で動いている間は、自分が裏社会こちらを担うことで全てが順調に進んでいた。

 なればこそ女性えものを前にロイオンが躊躇する理由もない訳だった。

 愚かではあるけれど。

 ちょうど中継都市第3階層周辺をロイオンが捜索してると(ここで反応が消えた故に)、ロイオンが運営を担ってる闘技場から連絡が入って来た。

 

『坊ちゃん!た、大変ですっ!凶獣っ、きょ、きょ、凶獣が倒されやしたっ!!』

 

 その報告に一瞬理解が及ばなかったものの、まずは訂正をさせねばとロイオンは口を開く。

 

「バッキャローッ!坊ちゃんじゃねぇって言ってんだろっ!!」

『す、すいやせん!ロイオン様………。ま、まずはこの映像をご覧になってくだせぇ』

 

 ん?いや待て。凶獣ビビアンが倒されたぁ?こいつは何を言っている。あれがそうそう倒されるなどと言うことはあり得ない。

 わざわざ大金を積んで幼獣を捕獲し、試行錯誤の末に造り上げた最高傑作だ。

 もちろんこちらが使役できるように、万が一の事態に対する対策も講じてある。

 

 そしてそれを使った興行を始める事にした。高貴な人間というのは日々娯楽に飢えている。それを利用した1つのショーを作り上げたのだ。

 それが闘技場での凶獣による蹂躙ショーだ。

 借金のかたに集めた子供を使った殺戮の宴。(観客には人型模倣機械とウソぶっておく)

 

 秘密の漏洩を防ぐ為客を厳選し、あらゆる情報を集約しシステム化していくことで何の問題もなくここまで来た。

 それに滅多に出すことは避けながらも、貴族達の弱みを握りそれを示すことで事なきを得ることもある。

 それらは凶獣ヴィブロォン(ビビアン)を手に入れたことによる恩恵だ。

 だからそれが人間などに倒されるはずがない。いや、あってはならない。

 

 ホロウィンドウに映されたその光景にロイオンは驚きを隠せないでいた。

 探し回っていた当の本人が、いるはずのない闘技場ばしょにいたのだから。

 そしてロイオンはさらに驚愕することになる。

 

「な、なんでこの女が闘技場あそこにいるんだっ!」


ホロウィンドウに表示されたその光景にロイオンは驚きを表す。

探し回っていた当の本人が、いる筈のない闘技場ばしょにいたのだから。

そしてロイオンはさらに驚愕することになる。


 凶獣とロイオンが呼称しているヴィブロォンは、鋼の如き銀の体毛に、山羊のような捻くれた双角と長く伸びる鼻面、丸くそして紅く見開く瞳孔。太く頑健なる双腕にには3本の黒き鋭爪。

 それは人が個人で抗うことなど不可能なモノ。

 それをもう1人の女(これもなかなかの美貌もの)とあの女は―――


「なんで………なんでこいつ等がビビアンの弱点を知っってやがるっ!?」


 ロイオンはつい映像に向けて声を荒げてしまう。そう、この凶獣の唯一の弱点、それはヤツが吐き出す毒咆哮たる分泌液が収められている肺胞両脇腹下部分へ同時に衝撃を与えられると、体内で2種類の分泌液の混合が進み自壊してしまうというものだ。

 こんな事が出来るのは、軍の機動宙航連兵大隊ぐら………。


「まさか………。あの女はっ―――」


 ホロウィンドウの中で崩れ伏せるヴィブロォンを見ながら、背中、いや全身に冷や汗がダラダラと流れていく。

 凶獣を手に入れるに前もって調査時、機動宙航連兵大隊についても調べた時に笑い話にもならない事を耳にした。

 凶獣とは毒を撒き散らす特性もあり、人が近づいてどうにかは出来ない。

 機動宙航連兵大隊においても上空からの一斉飽和攻撃が常であった。

 しかし一部市街に紛れた場合には、隊員が数名で事にあたるという一笑に付すものだった。

 だが、目の前で繰り広げられたそれはまさしくその話が事実だったとの証明である。

 ならば、もう軍の手―――


「プルゥティアム伯爵家ロイオン殿ですかな?」


 いつの間にか背後に黒服の男がこちらを誰何してきた。


「そうだが、貴方は?」


 振り向きつつ首肯すると、その男は決定的なひと言を告げる。


「私、帝国軍外務局環境保全部の者です。恐れ入りますが、少々ご同道願いたいのですがね」

「っ!」


 ………以前小耳に挟んだ記憶がある。貴族を対象にした監察機関があると。まさか、こいつが?


「もちろん御父上にも来て頂いております。御家族がいれば安心でしょう?」


 すでに父親は確保されているようだ。

 ニコリと笑顔を見せる男を見ながら、ロイオンはガラガラと足元が崩れる錯覚に陥った。

 

 

 

   □

 

 

 アイナクラィナは自身が行った行為に、軽い興奮と充足感に満たされていた。

 

 眼鏡グラシスの中の人間?から伝えられたとは言え、正直できるなどとは思っていなかった。もうアホかと。

 そもそも帝国内を巡ったといっても既知領域のことで、このような危険極まりない生物と邂逅することなど皆無だったのだ。

 死と隣り合わせの存在など今の今まで知る由もなかった。

 

 勢いと感情に任せて前に出たはよかったが、この後どうすればいいのやらと思っていたところにその女がやって来た。

 瞬間、こいつは私と同類おなじだと感じた。

 

 でも経験値しゅらばの数は私と比べるべくもないものと、そのビリビリとした感覚が如実に物語っていた。

 なのにそれは忌避するどころか、自分の肌に吸い付くような感覚を与えてくる。なんじゃ、こりゃ?

 

 とは言え、こんな生物かいぶつを前にそんな事を考えている場合じゃないのは分かっているので、眼鏡の中のメイドさんの指示に従って私は行動へと移していった。

 そうして化物と対峙する中、あぁなる程とアイナクラィナは理解する。この女はあのモートロイドなのだと。

 そうであれば動きやその思考も、肌で感じられる、そして予測も可能だ。その動きに合わせ動けがいいだけだ。

 

 その時アイナクラィナの胸の中に沸き上がったものは、無重力格闘(0G)チャンプの矜持や負けん気。

 ただ単に相手の1歩上を行きたいという感情だった。

 その凶獣かいぶつの暴風の如き両腕から繰り出される攻撃を躱し時機を見る。

 

 額に頬に背中に冷たい汗がジワリと流れる。

 今はその体躯を鎖で拘束されている凶獣を回避しつつも、その威力に怖れを抱く。ちびりそう。

 だがそれをあの女はいとも容易く避け躱し、その瞳は冷静に時機を見ていた。

 

「ちいっ!」

 

 ………負けてたまるかっ!歯を食いしばり凶獣を睨みつけその動きを見極める。

 苛立った凶獣が右腕を大きくに振り回す。

 

『今ですっ!この位置に掌底をっ!』

 

 眼鏡の中のメイドが指示する。しかも目標の位置をその側で指差して。

 凶獣の左脇腹、その下部分へとアイナクラィナは掌底を打ち付ける。

 タイミング?そんなん知らん!アイナクラィナは自身の矜持を持って拳を振るう。

 

 ドドンッ!!と左右からのその衝撃に一瞬凶獣はその動きを止める。

 こんな攻撃でこの化物がどうにかなるのかとも思えない。

 こんな、こんな化物相手に…………。

 

 そして右脇腹を抉ったあの女が、クルリと後ろを向いてスタスタと観客席へと歩き出す。

 はへ?と思わずそちらを見やるアイナクラィナ。するとゴブフッという呻き声のようなものを耳にしてそちらへ顔を向けると、口から緑色の血のようなものを吐き出した凶獣はドスンと後ろへと倒れそのまま事切れる。

 

「はぁああっ!?何なのよっ!あれぇっっ!!」

 

 それを見て思わずアイナクラィナは声を上げてしまう。

 それはそうだろう。たかが人間2人の一撃でこのような化物が倒されるなどと、アイナクラィナ自身思っても見なかったのだ。

 

 この状況に理解が追いつかず呆然とするアイナクラィナに眼鏡(2.5Dグラス)の中のメイドがかんたんに説明をする。

 

『先ほど説明しましたように、この害獣には肺胞に毒素を溜め込む機関があります。もしそれがある(・・)衝撃によって破砕されたとしたらどうなりますでしょうか?』

 

 質問に質問で答えてくるなんて、それ程賢くもないアイナクラィナにとってはなんとも答えようがない針の筵状態だ。

 だがそれなりにヒントらしきものは与えられた。だからアイナクラィナは思いついたことを恐る恐る口に出す。

 

「もしかして毒のとこを壊したから、破れたりする?」

 

 疑問形なのはお約束といったものだろう。

 

『はい、正解です。あの方お1人では流石に手に負えなかったので助かりました』

 

 果たしてそうだろうか?彼女・・なら、1人でもあっさりと片付けていたとアイナクラィナは思い感じた。


 

 そして戦いの後の手応えと感覚にしばらくの間呆けていると、レイテから声が掛けられる。 


『それから“G”からの伝言があります』


“G”。なる程、あの女はやはりあのふねの関係者だったか。

 であるなら、やはりその動きとその仕種からあのモートロイドの中の者なのだろう。アイナクラィナはそう確信した。


『“今回のことに関しては不問にする。だがこれ以降戻ることがなければ、こちらは一切関知しない”とのことです。良かったですね?選ぶことが出来て』


 グラシスの中のメイドがにこやかにそんな事を言ってくるが、いやいやいや!それ選択肢ねーじゃんかっ!アイナクラィナは心の中でそう罵倒した。

 いや確かに罪人として収監されていた人間が、たとえ状況がそうであったとして逃げ出すというのは拙い。というかダメであろう。

 本来であれば即確保というのが通常ではある。

 だが、“G”はこちらに選択権を委ねて来た。(選べるものがないのだけど)


 ここで彼等に見捨てられるというのは、アイナクラィナとしても本意ではない。と思う。

 結局ここまでかと、諦め気味に肩を落としアイナクラィナは観念したのだった。(そして、よもやあのハーレム男達も同じ艦の人間だとは想像してなかったアイナクラィナであった)





「目標2名収容しました。すぐに出発しますか?艦長」


 突然起きた想定外の事態をなんとか収拾したことにより、アレィナはガートライトへ今後の予定を訊ねる。

 航行計画表の予定期間は、暫定とは言え少しばかり過ぎてしまっていたりする。

 今後のことを考慮すれば、早め早めに行動に移すのは必要なことでもある。

 だがガートライトの返答は真逆のものであった。


「んー………もうしばらくは待機だな。ここで新たにお客さんを迎える予定だからな」

「お客さん………ですか?」

「ああ、民間人2名を乗せる予定だから」

 

 それを聞いたアレィナは納得する。そう、これはこれからの艦運用を鑑みれば、必要であり重要な項目であった。

 

「それに………行きたいところもある。絶対にっ!」

 

 ガートライトは目を瞑り何かを決意するように拳を握り締める。

 その姿にアレィナは呆れつつやれやれと肩を竦めて息を吐く。

 

「それって、ラ・ウメーですか?」

「だな!ぜひ行ってみたい。いや、行こう!」

「っ!…………」

 

 ニカッと笑ってガートライトはアレィナを見る。その表情にアレィナは顔を逸らして無言でそれをやり過ごした。

 心の中ではこの卑怯者!と捲くし立てるアレィナであった。

 

 その後ガートライトとアレィナは第3層でラ・ウメーとギョザーを堪能し、合流してきた民間人2名を乗せて中継都市を後にする。

 さすがに新たな面倒事が襲い来るなどとは露程も知らずに。

 

 

 

(ー「ー)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます

 

ブクマありがとうございます!がんがります!(T△T)ゞ


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