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38/55

38:そして彼等は夢を見る(前)

前回のお話

 

捕えた海賊のリーダー達は濃ゆかった

剣、槍、盾へと招待しO・MO・TE・NA・SHIする

そしてケィフトから新たな指示をうけて

ガートライトはそちらへ向かうのだった

 

 

 それは確かに望外の喜びと共に歓喜の感情を表に出した。

 またやって来た。でもまえよりすくない

 今度はどんなモノが味わえるだろうか。

 人の目には見えぬものの、それは身体全体を震わせながら喜びを表した。




 

 

 程なく試作第1号戦艦は目的地である熱光照射衛星へと到着する。

 この衛星の形は円柱の先に巨大なパラボラアンテナが付けられた感じのものだ。

 ただ大きさが円柱部分の直径が5km、長さが20kmというもので、アンテナ部分に関しては直径50kmを超える巨大なものだ。

 ただ実際の太陽と比べればあまりにも微小なものとも言えなくもない。

 

 この衛星の原理としては単純なものだ。

 幾つもの核融合炉を多積層に組み上げ、その中で作られたエネルギーを熱と光に転換させて、それを収斂するように出力をする。

 

 そしてここから更に5000キロほど離れている電磁波指向発生リングの中を通過させて、惑星の地表へと熱と光を注いでいくのだ。

 これは規模の大小の差はあれども、システムとしてはどれも皆同様のものである。


 ここの惑星の熱光照射衛星は中でも1番小さいものであり、帝星の衛星となるとその大きさはこれの十倍以上のものとなる。

 それは1つの惑星と同等の規模となる。

 調査をする上ではまだ比較的にマシな部類とも言えよう。

 近づきつつあるその衛星の様相を、ホロウィンドウ越しに見ながらアレィナはガートライトへと訊ねる。

 

「そういや、大脱出エクソダス前の星系って恒星があって、それを中心に惑星が回っていたのよね。ここは全く違うってことだけど、何故なのかしら?」 

 

 アレィナが当たり前に教えられていたこの星系の形態を、ふと気になったというか疑問に感じそのまま口にする。

 

「まぁな。先に入植した奴等のとこは、ちゃんと恒星があるとこだったらしいな。おん出されて辿り着いたここを見た時には、ご先祖様は驚いたって記録があるよ。

「……………」

 

 ガートライトの博識さというか、知識の深さにアレィナは呆れながらもその話に聞き入る。

 

「それなりに入植当初は研究や調査もやってたみたいだけど、結局は分からずじまいだったらしい。まぁ一説いっせつによると、未知の文明の存在による実験場ではないか?なんて話もあるけどな」

「未知の文明………ですか?」

 

 ガートライトの言にアレィナは少しだけ首を傾げる。

 それは操艦室にいるクルーも同様であった。

 

「まー荒唐無稽ではあるが、そんな考察もあるって話だよ」

 

 なるほどとは言えないものの、そんな考え方もあるのだとクルーが話を聞き感心している。

 やがて熱光照射衛星に近づくにつれ、その巨大さをまざまざと思い知らされるのである。

 それはエクセラルダイド中継基地とも拠点駅とも似て非なる異様さを放っていた。

 しかもこれで小型の部類というのだから呆れるしか無い。

 

「しっかしカレングル伯爵家ね………」

『元ですね。今は子爵家になっています』

 

 ガートライトの呟きにヴィニオが訂正しながら答えてくる。

 そう、この熱光照射衛生の基礎理論と実機を作り上げた者達こそが、第35開発試験場副所長の先祖なのだ。

 まぁガートライトが着任した時点で、試験場内の全ての人員の素性はヴィニオによってつまびらかにされ、ガートライトにとっての益、不益の調査は終わっていたりする。

 

 その中で彼、ウィーフルト・カレングルは完全にガートライトと敵対する存在であった。

 かと言って何をどうするという話でもない。

 どの道とある理由で降爵したカレングル子爵家に警戒はしつつも、とりあえずは放置する形となっている。

 ザーレンヴァイスと相対する仮想敵に対してはそれなりの用意じゅんびをするものの、それ以上はガートライトから何かをするつもりは毛頭なかった。(ある一部を除いて) 

 

 何より面倒臭い。それこそがガートライトの本心であった。

 ガートライト本人としてはのんびりPictvや知りたい事など、興味と意識が赴くままに生きていたいというのが正直な本音というものだ。

 

 もちろんウィーフルト(これ)に関してはケィフトへと丸投げしてるので、何かあれば知らせてはくれるだろうとガートライトは思ってる。(制限はされてたとしても)

 下手に何かに首を突っ込むと、何故か余計に面倒なことになるのをガートライトは自覚していた。

 

 そんな会話を交わしながら試作第1号戦艦は管理区のある側の離着陸場スペシアポートへと到着する。

 試作第1号戦艦右舷後部から搭乗チューブが伸ばされ離着陸場へと接舷する。ゲージが安全確認完了グリーンのシグナルを表示する。

 

「よし。それじゃ、人員を送って調査を開始してくれ」

了解(I.K)

 

 今回ガートライトはマーリィ・セレストン号の時と違い待機する側になっていて、調査隊には入っていない。

 多積層核融合炉には多少の興味があったので志願したものの、最高責任者が何を言ってるんだとガートライトの意見は受け入れられず、全てヴィニオとアレィナによってその計画のもと編成された。

 ガートライトも自分が艦長でなくていいんじゃね?と思うものの、AIが責任者というのもうるさく言う人間もいる訳で、ガートライトは溜め息を吐きつつ計画にゴーサインを出す。

 

 ガートライトの指示を受けクルーが行動を開始する。

 この調査を行うにあたって様々な情報をガートライトは得ていた。

 と言うかありとあらゆる情報を集めさせていた。(ヴィニオに)

 

 だがその情報はあまりにも断片的であり、何が起こりそのような事態になったのかは判明しなかったのである。

 事の始まりは1人の作業員が恐慌を来した事に端を発する。

 それを機に全て(、、)の作業員と管理者が同時に精神に異常を発して、作業が行える状態にならなくなったという。

 

 その“全て”というのが曲者で、全員を対象に検査を行うも特に異常は見受けらえなかったらしい。

 と言うより衛星より離れると、精神が安定して正気に戻ったものがほとんどという事だった。

 なのでこの状態では作業も行えず、作業を進めたとしても効率が悪く時間が掛かる事になってしまう。

 本来なら帝星で調査を依頼するべきなのだが、とにかく時間が掛かると見て取れた。(お役所仕事的に)

 そこでその惑星の領主予定の御仁が、ケィフトへと陳情をした訳である。

 

 正直ガートライトとしては面倒な上にやりたくないという思いを、ケィフトに航行試験という名目を盾に訴えるものの、その手のことに関してはあちらの方が一枚も二枚も上手であり、航行試験期間の延長と共に命じられることとなる。

 やむなく調査を行うことになったはいいが、原因不明の施設の調査など何から手を付ければいいか分からぬものだ。

 

 一応一時的に精神異常となった全ての作業員のデータは受け取り調査結果も送られてきたものの、一万余人のデータをこちらで精査するには、いくらヴィニオやジョナサンズでも時間が足りなかった。

 大まかなデータは精査したもののその内容は何とも不可思議というもので、ガートライトとしても判断に迷うところだ。

 

「人型の魚に襲われる“夢”を全員が見たというのが大体の話の内容なんだが………。なんだろなぁ……これ」

「でも、それぞれ状況は違うのよね」

「ああ、だなぁ」

 

 まず“夢”というのが分からない。衛星施設内にいた一万余人が同時に全員同じというか似たような夢を見たというのも、ありえない話だとガートライトはじめクルー全員の意見であった。

 

「まぁ、今回俺は待機だけどな」

「当たり前です。危険だと分かる場所においそれと最高責任者を行かせる訳には行きません」

 

 ガートライトが多少不満げにシートに身体を預けホロウィンドウに映る調査隊の姿を見やリ言う。

 それに対して何を当たり前の事を言わせるのかと、アレィナは言外にジト目で言い返す。

 今回の調査隊の選出はエネルギー発生施設ということで、主に機関部のクルーと他に他部署のクルーとジョナサンズ搭載のモートロイド及び簡易モートロイドという編成で事にあたることとした。

 

 機関士長であるバイルソンを筆頭に、彼の部下数名とエネルギー関連に造詣の深いクルーと行ったところだ。

 ケィフトからは調査したという事実があればいいだけという話であったので、調査自体はすぐに済ませる予定ではある。

 それでも半日以上はここに滞在しなくてはならない。

 

 こちらは調査隊あっちの状況を逐次確認するのみなので、調査に関しては何もすることがないのだ。

 一応全員配置の状態なので、休憩はないもののやれる事がない訳ではない。

 ガートライトはいそいそをホロウィンドウを開きPictvを堪能しようとするが、アレィナから声を掛けられやむなく断念する。

 

「ガ、艦長にはこちらの確認と決済をお願いします」

 

 そしてガートライトの目の前に幾つものホロウィンドウが表示され、ガートライトはそのことにウンザリとした顔を表す。

 

「やれやれ」

 

 ガートライトは諦め気味に肩を竦めて作業へと取り掛かる。

 自業自得とは言え、次からは少しだけ自重しようと心に決めながら。

 

 

 一方調査隊の一行は、搭乗チューブを通り抜けて衛星内部へと入って行く。

 まずは管理区にある総合集中管理ルームに向かう為に、衛星内部に敷設された連結無輪列車リンカノフロートレイルが停車している区画駅エリアノステノへと向かう。

 

 それなりに広大な衛星内はいくつかの区画に分割されており、その各区画をその連結無輪列車によって行き来がなされていた。

 円柱中心部に多積層核融合炉を配置し、その周囲に各区画を割り当て設ける形だ。

 規模となると、惑星内にある副都市程のものとなる。

 施設内を移動するにも、それなりの設備を要する訳である。

 

 ほどなく区画駅へと到着し、周囲を警戒しながら連結無輪列車へと乗り組む。

 3両編成の列車にそれぞれ1両目に簡易型モ-トロイド、2両目には人間であるクルーが、3両目にはジョナサンズ搭載のモートライドという並びで中へと入る。 


 実際何が起こるのか分からないので、当初はモートロイドのみでの調査だったのだが、そこに機関部の人間が志願をしてきたのだ。

 調査条件として、結局空気があるのにもかかわらずノーマルスーツ着装の上で調査を行うこととし、それに付随するようにモートロイドをを配置することになったのだ。

 そして中に入ったクルーが、列車内の予備電源を起動させシステムを稼働させる。

 この辺りは機関部の人間にとってはお手の物だ。

 そして事故防止と外敵からの防護の意味を兼ねて、離着陸場より少しばかり隔離された施設へと移動を開始する。

 やがて調査隊は管理区にある総合集中管理セントレルプロダクディアルーム前へと到着する。

  

 車両側面に設置されているシートは完全に一般用のものなので、ノーマルスーツを着装しているクルー達は立ったままで、これからの行動予定をバイルソンから説明を受けていた。

 その中の1人ロバッド・ギャヴァスは、説明を聞きながら妄想に耽っていた。

 

 この熱光照射衛星が照らす惑星は、水の惑星。

 もちろん淡水でなく、塩水である。海だ!

 ロバッドは現在提示されているその惑星の詳細を余すこと無く記憶していた。

 現在は闇に閉ざされた闇く暗い海が、衛星に照らされれば光り輝く陽光が広がりそこには――――

 嗚呼、素晴らしい光景が脳内に映し出される。

 

 副長に索敵通信士長、艦長の(ヴィ)サーヴァントAI(ニオさま)ジョナサンズ(レイテ、ダイン、)の見目麗しき(アスナ、ヨゥイン、)女性AI(エルザ、アイネ)ほかエトセトラ

 

「でゅふふ………」

 

 ロバッドはその妄想に思わず声を漏らす。

 

「おい!聞いてるか?ギャヴァス」

 

 バイルソンの声に我に返ったバロッドは、そちら向き直って返事をする。

 

「はい。総合集中管理ルームの状況確認の後システム稼働、1時間後この区画の施設内の空気を排出して再生成後循環させるですね」

 

 ロバッドはバイルソンがした説明をよどみなく復唱していく。これはロバッドの特技の1つで、妄想にふけながらも話を聞くという何とも器用なものであった。

 だがバイルソンとてそれなりの長さの付き合いがあるので、ロバッドの性質(性格ではない)を把握しており、復唱されたとしても理解していないことを知悉していた。

 なので理解させる為にも、もう1度ロバッドへと説明をバイルソンは行った。

 

「そうだ。システム起動ののち90分後(、、、、)施設内の空気を排出、その後生成循環を行う。なので決してスーツを脱いだりしないように」

「っ!了解(I.K)

 

 ロバッドが理解に及んだことを確認して、バイルソンはさらに説明を続ける。

 

「まずは簡易モートロイドが先行して周囲の状況の確認をする。異常が感知できなければジョナサンズモートが向かい、その後俺達が内部へと入っていく。いいな」

『『『『了解(I.K)!』』』』

 

 こうして連結無輪列車を出て総合集中管理ルーム前までモートロイドが先行し探索ののち、ジョナサンズによる空気成分の調査の結果、成分自体は全て基準値以下の数値を示したことでバイルソンをはじめクルーが総合集中管理ルームへと入って行った。

 

「問題なく入れたみたいだな」

 

 うおおぉと喜色の声を上げる機関部クルーの声を耳にしながら、モートロイドに設置されてるカメラからの映像を見てガートライトは呟く。

 

「そうですね。施設内の空気成分構成も特に問題があるようには見えませんし、伝染病とも考えられませんし………」

 

 アレィナが言葉を返す中、ホロウィンドウの中のクルー達は喜色満面の笑みを見せながら機器の操作を始める。

 この施設の起動用のパスワードは事前に知らされており、程なく総合集中管理ルームに電源が入り様々な機器が息を吹き返す。

 その中では調査隊の全てのクルーとジョナサンズを対象にモニタリングが行われており、全周波数帯域オープナチャネリで通信が交わされている。

 

 これらの措置はもちろん宙航法における調査探索時の行動における指示によるものだ。

 当然ガートライト達もこの調査を行うにあたって遵守している。

 やがて試作第1号戦艦へと総合集中管理ルームからデータが送られてくる。

 そして調査隊は各自バラバラな行動を取り始める。

 

 もちろん原因の究明が主なのだが、どう見ても彼等の興味の赴くままに行動しているのが目に見えていた。

 あるものはコンソールから多積層核融合炉の内部データを閲覧したり、ある者は全体図を呼び出してコピーしたりしていた。

 まぁ普段見ることのできない施設とあれば致し方なしと、ガートライトは身を瞑る事にしている。

 真面目に調査してるのはモートロイドぐらいだ。

 

「艦長………。なんかさっきからでゅふでゅふって声が聞こえるんですけど、コレなんですかね?」

 

 エルクレイドの気味悪げな声音に、ガートライトは端末を操作してホロウィンドウを表示させる。

 

「ああ。こいつの笑い声だから気にしなくていいよ」


 そこには別の室内を探索している小太りの男性クルーが、簡易モートロイドを伴っている姿が施設のカメラから映し出されていた。

 ロッカールームらしき室内で1つ1つロッカーの扉を開けて確認しながら、何故か笑っていたりする。

 

「きもー………」

 

 レイリンが感情のこもってない声で呟く。

 本人―――ロバッドはモニタリングされてることを忘れて―――いや、覚えていないんだろうなと、少しだけ憐れに思ってしまった。(それなりに優秀な人物なんだが)

 悪い人間じゃないのだが、ベクトルが明後日の方向に行っているので取っ付き難いだけなのだが。

 ガートライトが弁解らしくもない弁明じみたものを胸中でしていると、それは起こった。

 

 「でゅふふ」と笑いながらロバッドがロッカーの扉を開けると、そこから白い靄のようなものが飛び出てロバッドを覆い尽くしてしまう。そしてそれはすぐに伝播する。

 その瞬間ガートライト“達”は白い空間に意識が呑まれたと感じた後、それを見て声を上げて驚いた。

 

 (『『『『な、なんじゃこりゃあああああっっ!?』』』』)

 その場にいた全員がそんな思いを発した。 

 

 まずはじめにザザァンという水が重なり響き渡る音。

 それに気付くと、今度は眼前一面の青の空間が目の前に広がっていた。

 上空では雲ひとつない青空が広がり、陽光が燦々と光を降り注いている。

 そして足元の少し先には幾つもの連なる波間がザザァンとたなびいている。

 

 ガートライトは一旦心を落ち着けるように、深呼吸を繰り返して改めて周囲を見回す。

 

「なんだ………これぇ?」

 

 浜辺と思しき場所に試作第1号戦艦のクルーが、水着姿でガートライト同様に周囲を見回し立っていた。

 

「ガート!」

「ガーティ」

 

 そしてガートライトを呼びこちらに小走りにやって来る女性を見て、ガートライトは思わず首を傾げてしまう。

 1人はアレィナ。だがもう1人は見覚えのない美女であった。

 その2人の肢体に、ガートライトはついまじまじと眺め見つめてしまう。

 

 アレィナはいわゆるビキニというもので、ガートライトも過去の資料でしか見たことがなかったものだ。(もちろん主流とは言えないものの、現存はしている。主に貴族達が破廉恥を理由にあまり着られていないという話だ)

 CよりのDが黒い布地に覆われたゆンと揺れる。

 下部分はローライズされたもので、両脇を腰下で細い紐で結んで止めるタイプのものだ。

 色白の素肌に黒が何とも言えない感じのコントラストを与えて、扇情的な雰囲気を漂わせている。

 そしてワンポイントとして眼鏡グラスモニターが彩りを加えていた。

 

 アレィナさんいいです!

 ついガートライトは心の中で喝采を上げる。

 

 もう一方の美女は、ロングの銀髪を緩めの三つ編みに纏めハーフアップにしている。

 薄小麦ミルカショコイラの肌に紫翠の瞳は鋭く理知的な光を放ちガートライトを見ている。

 こちらの水着は白のハイレグタイプのもので、首元で止められているそれはヘソまでVの字に切れ込みが入っておりその間を紐が編み上げる様に交互に掛けられている。


 ボトム部分はハイレグの下に重ね着するように、これまた腰下で穿くローライズの紫の水着で両脇を金のリングで留められており、そのリングにチェーン付きの飾り(チャーム)がシャラリと揺れる。

 こちらも駆け寄ってくるたびに、DよりのEが左右同時にたゆゆンと揺れる。まさに官能的と言わんばかりの迫力であった。

 こちらもアレィナと同様にフレームレスの眼鏡グラスモニターを鼻でちょこんと掛けていた。

 

「ヴィっ・ニっ・オっ・さあ~~~~~んっっ!!」

 

 エルクレイドが満面の笑みを浮かべながら、声を上げてその美女へと突っ込んで来た。

 

「「えっ?ヴィニオっっ!?」」

 

 誰であるかと訝しんでいたガートライトとアレィナが、エルクレイドの声を聞き目を見開きそれぞれ唖然と声を上げる。

 

「はい、そうですが?」

 

 そう答えながらヴィニオと呼ばれた美女は、突進して来たエルクレイドをひらりと回避してその足を引っかけて転ばす。

 

「あだっ!げべべべっ!!」

 

 転ばされたエルクレイドは、そのまま砂に塗れながら向こうへと滑って行った。

 

「艦長!」

「これはどういう事ですか?」「めっちゃ恥ずかしんですけど…………」「ここってどこなんですか?」「あれ、海っスよね!艦長!」

 

 てんでバラバラにクルー達がガートライトへと問い掛けてくるのを、パンと手を叩いて落ち着かせる。

 

「はいはい!いったん落ち着いて~。もちろん今から説明するからさ」

 

 浜辺はそれなりの広さで、100人程の人間が余裕で立つことが出来ていた。

 全員がガートライトへと注目して、次の言葉を待つ。

 ガートライトがそれ等を眺めると、やはりその中に見慣れなぬ人間の姿も見受けることが出来た。

 やあっぱ、そうだよなぁ~とガートライトは独り言ちる。

 

 ジョナサンズ達が、というかAIが“人間化”してるよ………。

 

 そしてガートライトは、推測としながらも現状の説明を始めたのだった。

 

 


(ー「ー)ゝ お読みいただき嬉しゅうございます

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