表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/30

9

とも言われる。

「ルヘイが潰れた事でガルヴァも容易に仕掛けられまい。我が国にしても代償は大きかったが、元はあちらが仕掛けたのが始まりだ。オークなんぞを送り込みよって…」

―どっちの味方だ、とローグは思ったが話を戻すことを優先する。

「例の件ですが、陛下。そろそろ詳細をバスクに」

「ん、そうだな。バスクよ。この件でガルヴァ連邦との間に溝ができた。どう言い訳してもこれはお前が原因だ。よってこれより自宅謹慎七日の後、ガルヴァ連邦への出向を命じる」

「―かしこまりました。ガルヴァ出向、拝命致します」

床に頭を押し付けたまま、バスクは機嫌の直し方についての思考を再開した。


アリスト城下街の南西、バスクの屋敷までおよそ1キロ。西本通りをバスクとローグは並んで歩いている。夕焼けに空が染まる時間である。

「―お腹空いたなぁ」

「買い食いは駄目だぞ。既に謹慎は始まっているのだからな」

「ちぇ、ケチだな…」

「……」

「ごめんなさい」

グゥーと腹の虫が鳴いて、背中を丸くするバスク。その姿はとても小さく見える。

「…この阿呆が」

フードの上から頭をガシガシと酷く撫でたかと思うと、そのまま近くの露店へ入り、大きなハニーブレッドを三つ抱えて戻ってきた。

「半月以上、帰ってないのだろう?手土産くらいは…な」

そう言いながら、その内の一つをバスクに突き出す。

「ありがと、ローグ!」

ふん、と鼻を鳴らしたローグは、残り二つのハニーブレッドを袋に入れ右腕で抱える。左を歩くバスクは、子供のような笑顔でパンを頬張っている。こういう時間は嫌いじゃない。

「手が掛かる阿呆だ」

「ふご?ふぁふぃ?」

リスのように頬袋を膨らませて喋ろうとするバスクの頭を、今度は軽く小突いた。


バスクの屋敷は、西本通りの脇にある少し小さめの貴族館である。没落貴族の館を安値で譲り受けた。その庭に一人、少女の姿があった。バスクが片手を上げて声をかける。

「ただいま、ブルーノ」

「バスク様!お帰りなさいませ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ