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座るアリストリス十五世、その横に大司祭と司祭が付き従う。―ここは謁見の間。数百人は入れる規模の一室に、警護の守護騎士を含めて現在、総勢九人。大司祭の声が軽くこだましている。

「つい先日、釘を刺したばかりだったと思うたが…のぅ、バスクよ」

「この度は大変申し訳御座いませんでした」

片膝をつけた状態から、いつの間にか土下座になっているバスクがそこにいた。本当に反省しているのだろう、普段のだらしない言動は見て取れない。

「―まぁ、良しと…」

「それで済むとでも思っているのか!」

司祭、噴火。大きく、通る怒声は王の言葉をかき消して、広い謁見の間に反響する。横で大司祭が目を回している。守護騎士に至っては、槍を投げ捨て職務放棄している者さえいる始末。

「―落ち付け、司祭。横でそのような大声を出すでない。殺す気か?」

はっ、と我に返った司祭も慌てて土下座になる。

「ももも、申し訳ありません、陛下!」

―もうよい、という王の一声で司祭は泣き出してしまった。泣き喚く司祭が謁見の間から出ていき、大司祭がわざとらしい咳払いをした後、再びアリストリス十五世が口を開く。

「先日のルヘイ丘林における大規模爆発は、その後の調べで直径二キロに及ぶものだったと報告を受けておる。中心地から1キロ先にあるガルヴァ国境砦は廃棄が決まった。大手柄だな、バスク」

「申し訳御座いません…」

「構わん。おかげであの辺り一帯は完全な不可侵区域となった。と言うよりあそこは暫く進入禁止になる。」

「それはどういう…」

聞き返そうとしたバスクの横でローグがすっ、と立ち上がる。

「それについては私から話そう。陛下への報告も兼ねているからな」

――報告の内容としては、あのオーク部隊が保持していた巨大な物体は「魔力炉」の一種であったと推測され、反応中の魔力がバスクの放ったレッドラインを媒介として暴走、在り得ない規模の爆発になったとのことだった。異常反応した魔力が飛散し、魔力汚染が深刻なことを受けて、アリスト・ガルヴァ両国は元ルヘイ丘林地域を長期間の進入禁止とする決定を下した、というものだった。

「知っていると思うが、ルヘイでの衝突は度重なるものがあった。ガルヴァにしてみれば豊かな土地が眼前にあるのだ、致し方ない所はあったが…」

大司祭が言葉を濁す。ガルヴァ連邦はアリスト連合国の北東に広がる、雪山に領土の六割を割かれる極寒の大国である。軍事国として知られるが、その生活水準は他の小国に見劣りする


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