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岩石に突き刺さり、当たり一面は氷の矢で埋め尽くされた。

竜装「雹翼」は氷の膜を持つ対の翼。広げた両翼を軽く羽ばたかせ、浮遊し始める。

「―終わりかしら?そうだったら、助かるのだけれど…」

ユラントフに答えるように、大気が熱を持ち始めた。水蒸気に変わる氷の矢が、形を保てずに崩れ、砕けていく。

「―〆るにはまだ早いんじゃないっすか?青竜さん」

融けだした氷の山から、赤熱化した尾を振り乱し現れたバスクには、数本分の矢傷が見て取れた。

「同化した方が良いと思うわよ。軽傷という訳では無いでしょう?」

「お気遣い、どうも。でも心配無用…」

腰を落とし、重心を少し前へずらす。

「…速攻で片付けて帰るんで!」

竜装で宙に浮くユラントフに向かって、バスクは特攻を仕掛けた。跳躍直前にレッドテイルを三発撃ちだし、追い掛けるように跳躍した。初撃の三発は何らかの形で防がれるだろう。だがその瞬間を逃さず攻勢をかければ、一撃は入れられるという自信があった。一撃入れば勝てるという確信も。

すぅ、と息を吸ったユラントフは大きく羽を広げ、身体を後へと反らす。肺へ吸い込んだ空気に魔力を織り交ぜ、ブレス攻撃の準備を終えた。

「―ガァッ!!!」

人の出す音では無い何かと共に、ユラントフの咆哮は周囲の小雨と、それに伴う湿気を巻き込んで吐き出された。数メートル先まで迫った三発のレッドテイルは、ユラントフの冷気を含むブレス攻撃を受け一気に減衰、その熱を保てずに瓦解する。その余波はその後ろを行くバスクにも及んだ。展開した防御結界に氷が伸びていく。

「結界が凍りついていく…」

―気を抜くな、一気に行くぞ!

自ら張る結界を拳で砕き、ブレス後の隙を攻めるべくバスクはすぐさま距離を詰める。足場にしたのは、砕いた結界の破片だった。予想通り、ユラントフの結界は三割ほどしか張り終わっていない。

「もらったぁ!」

バスクの身体の後ろ。ユラントフからは隠れて見えなかった尾の先端には、発動間近の赤い魔力が集束していた。くらえば無事ではいられない事が分かる。ユラントフは距離を取ろうと両翼に魔力を送り、浮力を上げた。

(―間に合わない!)

背後から伸びる灼熱の尾は、急激にその身を伸ばしてバスクとユラントフの中間まで攻め込


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