表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/30

19

キを掛けるべく、手に持っていた剣を壁へと突き立てる。そのまま土煙を上げながら落下速度を徐々に落として行く。

 (どうにか止まりそうかな…)

 右手に持ったブレーキのおかげで地面に激突するのは免れた、と思った矢先。―ガキィイインッ…。硬い岩に剣が引っ掛かり、バスクは反動で宙へと投げ出される。

 「……おろ?」

 天地が入れ替わり、見上げたはずの空が地面だと気付いた時には、空洞の底まであと四メートルも残っていなかった。

 ―バスク!

 ブラッドの呼び掛けの意味は分かっていたが、間に合わない。仕方が無いので自分でどうにかしようと覚悟を決める。

 「あらよっと―」

 飛び込む形で地面に激突。したかと思った瞬間、バスクの身体は再び宙を舞っていた。両手を着き、ほぼ真横へと飛んだ後、殺しきれなかった勢いで地面を転がる。降りて来た反対側の壁近くまで転がったバスクは、もう一度地面から跳ね上がり今度は両足で着地する。

 「ほいっと」

片膝を着いて安堵の溜息を漏らしたバスクの前には、すべてを傍観していたユラントフの姿があった。服の汚れを手で払いながら立ち上がる。

 「―手助けなしとは、ずいぶん酷くないっすか?」

 「流石ですね。あの高さから落ちた時は駄目かと思いましたよ」

 笑顔で答えるその言葉には、嫌味は無いように感じられた。

 「さあ、この先にキメラは居るはずです。準備良ければ、進んで下さいね」

 あっ、と思い出したように人差し指を立て言葉を続ける。

 「…私はそろそろお暇します。時間切れのようなので。キメラ退治頑張って下さい」

 そう言うと、ユラントフの身体から青色の魔力が霧散した。

 「―失礼しました、怪我等あれば手当します」

 「…いや、大丈夫です」

 空洞から横に伸びる穴へと歩き出す。この先にキメラがいる。横穴から溢れだす魔力はキメラ1体のものなのか、それ以上のものなのかは現時点ではまだ、分からなかった。


 「ブラッド。感覚共有、竜装展開だ」

 ―分かった。速攻で決めるぞ

 ペンダントから流れ出す赤い魔力は、バスクの全身へと流れ込んでいく。魔力の発光が治まった頃には横穴を抜ける一歩手前まで来ていた。感覚共有を始めたバスクの瞳には赤い光が宿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ