74 【写真】
「どうだった? 卒業式」
「うーん、思ったよりはしんみりしたかなぁ。遥季は?」
「俺も」
他愛もない会話をしつつ、悠依たちはいつもよりゆっくりと、この時間を味わうように、歩いていた。
「おっ! 棗から送られてきたぞ!」
「本当? 送って!」
「おっけー!」
液晶には笑顔で悠依の頬にキスをする遥季と、笑顔でピースする悠依の姿があった。
「いい写真だね!」
「そうだな! いい記念だ」
「ね!」
そしてさらに歩き続け、家まであと少しというところで突然遥季が呟いた。
「これでもう、一緒に帰ることはなくなるのか……」
「そう、だね……」
「まあ家は隣だし、いつでも会おうと思えば会えるんだけど」
「うん」
伏目がちに歩いていると、いきなり遥季の顔が目の前に現れた。遥季はニヤッと笑い、尋ねた。
「寂しい?」
「は!? そんなわけないでしょ! 一生会えないとかじゃないんだし!」
悠依は照れ隠しで強く言ってしまった。
(何あの顔……、見たことない、大人の顔……)
「そっか、俺は悲しいけどな~?」
「えっ?」
「だって、もう一緒にも帰れないし、一緒に登校も出来ないんだぜ?」
「そ、そうだけど……」
「もっと長い間、一緒にいたいと思わね?」
「長い間?」
ウインクをした遥季に、悠依はキョトンとした表情で聞いた。
「はぁ、そっか、お前鈍いから。直球で言わなきゃダメか……」
遥季は見たこともないような真剣なまなざしで、悠依を見つめた。




