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2代目天狐と鬼天狗  作者: 涼井 菜千
新たな標的
75/76

74 【写真】

「どうだった? 卒業式」

「うーん、思ったよりはしんみりしたかなぁ。遥季は?」

「俺も」


 他愛もない会話をしつつ、悠依たちはいつもよりゆっくりと、この時間を味わうように、歩いていた。


「おっ! 棗から送られてきたぞ!」

「本当? 送って!」

「おっけー!」


 液晶には笑顔で悠依の頬にキスをする遥季と、笑顔でピースする悠依の姿があった。


「いい写真だね!」

「そうだな! いい記念だ」

「ね!」


 そしてさらに歩き続け、家まであと少しというところで突然遥季が呟いた。


「これでもう、一緒に帰ることはなくなるのか……」

「そう、だね……」

「まあ家は隣だし、いつでも会おうと思えば会えるんだけど」

「うん」


 伏目がちに歩いていると、いきなり遥季の顔が目の前に現れた。遥季はニヤッと笑い、尋ねた。


「寂しい?」

「は!? そんなわけないでしょ! 一生会えないとかじゃないんだし!」


 悠依は照れ隠しで強く言ってしまった。


(何あの顔……、見たことない、大人の顔……)


「そっか、俺は悲しいけどな~?」

「えっ?」

「だって、もう一緒にも帰れないし、一緒に登校も出来ないんだぜ?」

「そ、そうだけど……」

「もっと長い間、一緒にいたいと思わね?」

「長い間?」


 ウインクをした遥季に、悠依はキョトンとした表情で聞いた。


「はぁ、そっか、お前鈍いから。直球で言わなきゃダメか……」


 遥季は見たこともないような真剣なまなざしで、悠依を見つめた。

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