71 【女子会】
そんな陽翔の様子など知る由もない悠依と遥季は、卒業に向けての準備に追われていた。
「卒業論文に、試験、もうやだ~」
「悠依! しっかりして!」
柚子は机にうなだれる悠依を必死に励ました。
「そう言う柚子は決まったの~?」
「テーマ?」
「うん~。なにも出てこなくって……」
「別に何でもいいじゃない! 自由なんだし。私は『美味しい料理の共通点』だよ?」
「――それはいいの?」
悠依は半ば呆れ気味で柚子を見た。
「なんでもいいんだって! 進学先に関係あろうとなかろうと、就職先に関係あろうとなかろうと!」
「うーん……」
悩み続ける悠依に柚子は思いついたように言った。
「じゃあ! 神社について調べるとかは? 悠依巫女だし! ちょうどいいんじゃない?」
(神社か、黎羽様とかにも聞けるかも……)
「あぁ! それいいかも! ありがとう柚子!」
「いえいえ~」
テーマの決まった悠依は早速調べだした。そして授業は終わり、昼休み。
芹がいなくなってからというもの、悠依は梨緒と柚子の3人で食事を取っていた。
「そういえば、芹はどう?」
「あー、どうって言われても、何も変わんないよ」
「そっか……」
「本当にごめんね? 何かひどいことしたみたいで……」
柚子は申し訳なさそうに悠依を見た。
「いや! 全然大丈夫なんだけど! ちょっと心配だなって……」
「最近帰ってきてないの。でもきっと元気だから大丈夫だよ!」
「そっか……」
「で、梨緒ちゃんは何してるの?」
「ふぇっ!?」
突然名前を呼ばれた梨緒は変な声を上げ、柚子を見た。
「いや、ちょっと……」
「――織斗くん?」
「織斗って、久遠?」
悠依の言葉に柚子も反応した。
「久遠くんがどうかしたの?」
「ちょっとあってね~。停学解けたって言っても今日からでしょ? 大丈夫だって!」
「悠依~! せっかく守ってあげようと思ったのに!」
「もう襲ってこないよ、もし仮に襲われてももう大丈夫! ほら、ご飯食べよ?」
「うん……」




