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6 【召喚】

 (遅いな)


 伊織に気を使い街をブラブラしていた遥季だったのだが、学園を出てからもう1時間は経とうとしていた。


 (そろそろ暗くなってきたし。今日は帰らせてもらおうか)


 学園に戻った遥季が、玄関の扉を開け中に入るとそこに居たはずの2人はいなく、声も聞こえなかった。


 (おかしいな。どこ行ったんだ?)


 とりあえず遥季は2人を探すことにした。

 学園内は暗く数メートル先の視界さえも怪しいほどだった。 

 そんな中遥季はなんとか裏階段に行き着いた。

 そこで目に飛び込んできたのは、階段に座り込み、ぐったりとしている悠依の姿だった。


「悠依!!」


 遥季は叫んだ声とは裏腹に冷静だった。悠依を抱き起こし、首筋についた二つの小さな傷を見つけた遥季は何があったかの予想はついた。しかし、何度悠依の名を呼んでも反応はない。


 このままここに放置しておくのもどうかと思った遥季は学園を出て、悠依の家……ではなく自分の家へ向かった。


 家に着いた遥季はまず寝室に悠依を寝かせ、私服に着替え、陰陽師に関わる本などがおいてある部屋に入り、おもむろに座り込んだかと思うとなにやら呪文らしきものを唱え始めた。


 すると、遥季の目の前に女性が現れた。


「どうしました、(あるじ)

「突然悪かったな。頼みがある」


 女性は寝室をチラッと見て言った。


「いえ、それで頼みとは、ふむ。……あちらの部屋に寝ている女の子ですか?」

「あぁ。治せるか? ――“毒”を抜いてやってほしい」

「“毒”ですか? まさか鬼に……?」

「あぁ」

「わかりました。主」


 そう言って寝室に向かった女性を見送った遥季はもう一度、今度は違う呪文らしきものを唱え始めた。


 すると今度は男性が現れた。


「呼んだか?遥季」

「あぁ、お前には警護をしてもらいたい」

「――あいつをか」


 男性は寝室を一瞥し言った。


「ああ。頼めるか?」

「ふん。俺を誰だと思っている。……任せろ」


 そう言うと男性も寝室へと向かった。

 そしてこの日、悠依は目覚めることはなかった。

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