61 【約束】
「少し片付けてくる、連絡をしたらこの方達を」
「かしこまりました。しかし旦那様、ご予定の方は……」
空木に問われ男性はハッとした顔をした。
「ああ、すっかり忘れていた。何時からだったかな?」
空木は胸のポケットから懐中時計を取り出した。
「そうですね……あと10分ほどしか猶予はございませんが」
「そうか。――申し訳ないが十六夜さん。また後日、ということでもよろしいだろうか?」
「もちろんです」
「次はいつ空いていた?」
またも同じポケットから今度は手帳を取り出した空木が応えた。
「はい。今週は予定が詰まっておりますが、比較的来週なら空いております」
「では来週の土曜日、またいらしてください。今度こそ真実をお見せします」
「わかりました、土曜日ですね。伺わせていただきます」
「ではここで失礼。柳木、御2人を」
「ハイ、イッテラッシャイマセ。ダンナサマ」
玄関まで悠依たちを見送った柳木は最後に
「スミマセン。デハ、来週ノ土曜日、オ待チシテイマス」
と言って扉の中へと入って行った。
「ふう。とりあえずは、難関突破かな?」
「そうですね! すみません、何もできなくて……」
「いや、悠依ちゃんがいてよかったよ」
「そう言ってもらえると助かります」
「ひとまず次の約束ができてよかった。――さあ! 報告に戻るとしようじゃないか」




