56 【パーティ】
帰宅して早々、遥季が呆れたようにため息をついた。
「買いすぎじゃね?」
「そうかな? 普通だよ」
「いや、普通じゃねぇよ」
買い物を終えた3人は悠依の部屋でクリスマスパーティをすることにした。パーティならばと、次々放り込んでいった結果、大きな袋が2つという大荷物になってしまった。
悠依は一際大きな袋を指差し、「だってパーティに使うのはこれだけだよ?」と言った。
「これは何に使うの?」
「えっと、ほとんどはピザで、にんじんとブロッコリーは付け合わせです!」
「こっちの袋のは何に使うの?」
「自炊用です! 買いだめしてなかったので」
そう陽翔に答えた悠依はエプロンを着け、料理を作り始めた。
香ばしい匂いやトントンというリズムのいい包丁の音につられたのか、最初はソファに座ってテレビを見ていた遥季たちもいつしかキッチンの方へと来ていた。
「あの……座ってていいんですよ?」
「だってすっげぇいい匂いすんだもん」
「何か手伝うことはないかな?」
「じゃあ遥季はサラダの野菜ちぎって、陽翔さんは野菜とか切るのお願いしていいですか?」
「は!? なんで俺まで、俺はやらねーよ」
遥季はソファに戻り、ぐでーと横になった。
しかし「文句言うなら食べさせない」という悠依の言葉に舞い戻り「喜んでやらせていただきます」とレタスやら何やらが入ったボウルを持ってまた戻ったのだった。
「なあ俺腹減った!」
いつの間にか役目を終えた遥季が空腹を訴え始めた。
「もうちょっと待って、もうそろそろチキンが焼けるはずだから……」
悠依の言ったとおり、ちょうどオーブンが出来上がりを告げた。
「ほら! あとはピザ焼くだけだから、もう少し!」
15分後、無事、全ての料理が完成し悠依たちのクリスマスパーティは始まった。
「悠依ちゃんの料理とても美味しいよ」
「ありがとうございます! あ、遥季。せっかくだから架威たちも呼ぼうよ!」
「えー。めんどくせぇな」
「――ダメなの?」
首を傾げた悠依はシャンメリーの効果もあってか、いつもより顔が赤く見えた。そんな悠依に見られた遥季は照れくさそうに目を伏せ「仕方ねぇな」と言い架威、薙癒を召喚した。
「悠依!」
「薙癒~。久しぶり! 架威も」
「ああ。やけに豪勢だな、今日は何かあるのか?」
「クリスマスっていう行事なんだよ! 2人とも座って、一緒に食べよ?」
「陽翔、久しぶりだな」
「そう? 架威出てなかったもんね」
「ほらほら! そんな久々な再会の喜びも大事だけど、食べて食べて」
「じゃあいただきます!」
豪華な食事のあとにはこれまた悠依手作りのケーキを食べ、遊び、クリスマスは更けていったのだった。




