45 【呼び出し】
星劉祭から数日後、悠依は遥季とともに黎羽に呼ばれ星劉神社へと向かっていた。
「楽しかったね。学祭!」
「悠依のクラスに負けたこと以外はな~」
遥季は口を尖らせ拗ねながら言った。
「でも遥季のクラスもすごかった! 遥季、可愛かったし!」
遥季は顔を真っ赤にして、
「か、可愛いっていうな!」
と言い、先に行ってしまった。
***
「ここで良いのか?」
神社に着いた悠依と遥季。既に悠依の姿はもはや見慣れた狐へと変わっていた。
「その姿……。お主ら、黎羽様のお客だな?」
背後から聞こえた声に悠依たちは驚き、勢いよく振り返った。
「ど、どちらさまで?」
「すまない。我は蓮華。この社の守りをしている。黎羽様から聞いてないか?」
「あ! あなたが蓮華さん……」
「そうだ。黎羽様には聞いている。悠依と遥季だな? 悠依は黎羽様に、そして遥季は藜様のところに、と言われている。さあ、手をここに……」
そういうと蓮華は2人の手を取り、
「意識だけ、向こうに飛ばすぞ」
と言った。
2人は無言で頷く。
「では」
蓮華の言葉を合図に悠依と遥季は倒れこんだ。
「さて、運ぶか……」
蓮華はその体の細さに似合わず、2人を担ぐと社の中へと向かった。




