3 【放課後】
放課後は校内が一気に騒がしくなる。真っ先に教室を出て行く者、部室へと向かう者、残って勉強していく者、など様々である。
そんな中、悠依は梨緒と話しながら階段を下っていた。
すると背後から悠依の名を呼ぶ声が聞こえてきた。
「遥季……?」
「呼んだだけ~」
「そう、行こ梨緒」
「嘘だって! 一緒に帰ろうかと思ってさ!」
「でも……」
悠依は梨緒を一瞥した。
「いいよ? 帰りなー」
「本当? ごめんね! 今度なんかおごるから!」
そうして悠依は遥季とともに帰ることになった。しかし、学園を出て少し歩いたとき、悠依はある事に気付いた。
「遥季って今どこに住んでるの? 昔のまま?」
「いや、1人暮らししてんだ」
「そうなんだ、今度遊びに行こうかなぁ?」
「いつでも来いよ、お前の家の隣だから」
「えっ……!?」
「気付いてなかっただろ?」
「うん、えっ!? いつから……?」
「お前が引っ越して、少し後かな?」
「えー……」
「ほら、着いたぞ。ここが俺の家!」
(ちょっ、本当に隣だし……)
2人は本当に同じマンションの同じ階の隣同士だった。
「じゃあまた明日な~」
「……また明日ね!」
悠依は複雑な気持ちのまま、遥季と分かれたのだった。