2 【異変】
屋上の扉を開けると、昨日とは違う光景が目に入った。
(誰……!?)
誰かの寝顔、きれいな顔をしていたので女性かとも思ったが、よく見ると男性だった。
「どうする? この人、昨日いなかったよね……」
「私は別にどこでもいいよ?」
「じゃああっちの方で食べようか!」
2人は寝ていた男性からは死角になって見えない場所で食べ始めた。
「結構普通の声で話したのに、起きないとはよっぽど眠かったんだね~」
「あぁ、さっきの人?」
「そうそう! 何かかっこよくなかった!?」
梨緒はウキウキとした表情をしていた。
「そう? でもあの人どっかで見たことあるような気がするんだよね~……」
「知り合いなの!?」
「わかんない」
そんな悠依の頭に何かが圧し掛かった。
(ちょっ、重い……)
「誰!?」
「あ、さっきの人だよ! 悠依!」
「さっきの……?」
すると、その人物は悠依の頭に圧し掛かったまま、自己紹介を始めた。
「どうも、蒼麻ですー!」
(蒼麻、って……)
「遥季!?」
「おっと……。ったく、もうちょっと優しく立てよ」
悠依が勢いよく振り返るとそこにいたのは、まさに遥季だった。
「悠依、知り合い?」
「幼馴染! めっちゃ久しぶりだけど!」
「俺の存在に全然気付かねぇの。酷いよな~。こっちは入学式から見てたって言うのに」
「なんで?」
「お前、入学式のとき目立ってたからな、知らなかったのか?」
キョトンとしている悠依に遥季は驚いた顔で聞いた。
「視線、感じなかったのか?」
「そう言われれば、めっちゃ見られてたかも……?」
遥季は呆れ顔で説明しだした。
「相変わらず鈍いのな。入学前にオリエンテーションってのあっただろ? そこで新入生’sってグループ作られて、ミスコンってのをやったんだと。それでお前がグランプリってわけ」
「グランプリ!?」
「悠依すごいね! 400人の中に女子何人いるのかわかんないけど、とりあえずすごい!」
(そりゃあ視線も集まるわ……)
遥季の説明で悠依はすっかり納得していた。
「ってことなんで、きっと告白されるのは増えるんじゃねぇか?」
「えー……」
「お前未だに男嫌いか?」
「違うっ! くもないけど……」
「まあ何かあったら言えよ、相談乗ってやるから」
「うん」
そうして、遥季たちとは分かれ午後の授業も終え、時刻は放課後となった。