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20 【麻痺】

(お父さんが異血人(ベアリー)で私が混血人(ミックス)だったなんて……ということは私も現世に行けるのかな……)


 そう考えながらボーっとしていると芹の怒号が飛んだ。


「ちょっと! 学園長になんてこと伝えてくれたのさ! 後からって言われただけマシだけど、学園長の呼び出しを受けるってことは……!」

「まぁまぁ落ち着いて、芹。そんなことしている暇はないわよ。よく考えて? 私がここにいるのよ?」

「――蒼麻が来る!」

「大正解。さぁ、急ぐわよ。――悠依、早く」

「え?」

「まずこれを飲んで、その後これに着替えて」

「え? え?」

「良いから早く!」

「え、ちょっと待って!? なにこれ!」


 悠依に手渡されたのは紫色のどろどろした見るからに飲むものではない液体ととても丈が短いワンピースのようなものだった。


 「早く飲んでよ!」


痺れを切らした闇祁が自分の口に紫色の液体を含み、口移しで悠依に液体を飲ませ始めたのだ。それも一回や二回ではなく紫色の液体がなくなるまで何回も口移しで飲まされたのだ。


「ん! ――ぷはっ! はぁ……な、何するの! いきなり!」

「飲んでくれない君が悪いのさ。これは感覚を鈍らせる薬。麻痺薬と思ってくれれば良いよ」

「麻痺薬? あ……」


 そう言うと悠依はガクンと座り込んでしまった。


「あ、あんたたち……な、何する気?」

「言ったじゃん。“検査”だよ。――さあ、まずは着替えようか」

「やだ……来ないで」


 ニヤニヤしながら近付いてくる芹と必死に逃げる悠依。そしてついに芹が悠依の制服に手を掛け脱がせ始めたそのとき。


 ガラッと勢いよく扉があいた。


 そこには走ってきたのか息を切らせている遥季が居た。

 そんな遥季が見たのは押し倒されて服を脱がされている悠依と悠依の服を脱がせている芹の姿。


「あ~もう来ちゃったの~? ――もう少し遅く着てくれたら良かったんだけどな~」


 そんな芹の言葉を無視して遥季は話し出した。


「悠依を返せ」

「あれ? 僕のことは聞かないの?」

「そんなことはどうでもいい。良いから返せ」

「――返さない、と言ったら?」

「……架威」


 遥季がそう呟くと煙とともに突然架威が現れた。


「いましたか、遥季」

「あぁ。悠依を俺の部屋に飛んでくれ」

「了解」


 架威はすばやく芹を蹴り悠依を抱き上げ、姿を消した。


「あーあ、逃げられちゃった。どうする? 弥生」

「しょうがないでしょ。戻るわよ」

「はーい。――じゃあ、また今度、会おうね蒼麻」

 


 そう言ってなずなと芹の2人も姿を消したのだった。

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