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15 【異変】

 この学園には“クラス替え”という制度がない。

 そのため、悠依は2年生になっても織斗、架威、柊木姉弟と同じクラスだった。


 悠依達の心配に反して2年生になっても何かが起こることはなかった。

 しかし、1ヶ月を少し過ぎ暖かくなってきたある日。この日も悠依はいつも通り遥季と登校し、学園に着き授業を受けお昼休みを過ごした。

 そして放課後に異変は起きた。


 この日、架威が「遥季に頼まれたことがある。遥季が来るまで教室に居ろ」と言い残し帰っていってしまったため、悠依は大人しく座って待っていた。


――数十分後



「悪い!遅くなっ……た?」


 教室の扉をガラッと開けて入ってきた遥季が見たのは机に伏せた状態で眠っている悠依だった。


 (ちょっと悠依さん。無防備すぎない……?)


「悠依、遅くなって悪い。帰るぞ、起きろ?」

「ん……? あ、遥季?」

「あぁ、帰るぞ。」

「うん。」


 そして階段を下りているとき、遥季は“異変”に気がついた。

 無効化しているはずの尻尾が見えているのだ。かろうじて羽は見えていないが耳は見えかけている。


「悠依! お前、何か変わったことは!?」

「え……? ないけど?」

「嘘ついてないよな?」

「うん」

「――とりあえず走れ! 早く家に帰れ!」

「え!? な、なんで!?」

「いいから!」


 2人はとにかく走って学園から出た。


「良いもの見ちゃった~」

 廊下から妖しい笑みを浮かべカメラを持った生徒がその一部始終を見ていたとも知らずに。



 家につくころには2人の息は上がっていた。


「な、なんで走ってきたの?」

「お前、気付いてないのか? ……耳と尻尾見えてるぞ」

「え!」

「多分誰にも見られてないと思うんだが……まあ明日の反応によるな」

「そんな……」

「大丈夫だって。俺が守ってやるから」

「うん……」


 そして不安な気持ちのままこの日は眠りについたのだった。

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