8日目 7年の歴史
「お兄ちゃんの時って鎌倉幕府あった?」
アカリが珍しくファッション雑誌ではなく、歴史の教科書を開きながらプリントを解いている。
リビングのソファーで。
「え? それはどこから突っ込むべき? 僕も一応勉強はしてるんだけど、1192年で覚えたよ。『いい国作ろう鎌倉幕府』で」
「でも、今は1185年で『いい箱作ろう鎌倉幕府』になったんだよね」
「前倒しされたんだよね。まあ、鎌倉幕府は有名だから簡単に覚えられるけど、関が原とか応仁の乱とか、そこらの歴史に関してはよくわからない」
「そんなこと言うと、歴女のお母さんにフォークで刺されるよ」
「それは虐待だ」
「大丈夫だよ、愛だから」
「そういうヤンデレ的な愛はいりません」
「でもさ、実際問題7年って大変な差だよね」
「まあな……小学六年間終わるぐらいの歴史がある」
十代・二十代の頃の7年は永遠とも感じるほどに長くとも、きっと四十、五十となったら7年という時間は、あっという間かもしれない。
「そんなんじゃないよ。7年って言ったら、ファミコンをやってた世代が、スーパーファミコン世代に鼻で笑われるだけの時間だよ」
「64はスーファミから6年後だからな!」
今日もこの二人は天下の任天堂ブランドで遊んでいます。