56日目 妹、デレる
「お兄ちゃんが愛の告白を受けたんだね。世の中には物好きがいるというか……」
「マサヤ ハ ドウスル ト オモイマスカ?」
「なんで片言?」
よく見ればヒカリの目からは光が失われている。ヒカリなのに。
「はあ……」
こんなヒカリは見ていられない。
「これでどうにかしようと思います」
秘密道具のようにどこからか取り出した便箋セット。
「まさか!」
「あ、お姉ちゃん戻った。そうだよ、これでお兄ちゃんへのラブレターを捏造します」
「アカリ、あなた……」
アカリは一番下の妹として仕方なさそうにため息を吐き、今にも泣きそうなヒカリを見る。
「そんなにマサヤを他の女に渡したくないのね! いいわ、私たちで代筆してマサヤにこの女を近づけさせないようにしましょう!」
すっかり元気を取り戻したヒカリはとんでもないことを言い出した。そしてそれに対していつもなら文句を言うであろうアカリは静かにペンを握る。
「そうだよね、お兄ちゃんのため」
「にしし」
「ち、違う! お兄ちゃんじゃなくて、相手の女の人のために!」
「あーあ。アカリも結局マサヤを他の女に取られちゃうのが嫌なんだね。わかったわかった。じゃあ、こうしましょう」
さらさらとペンを走らせて封筒にまったく別の便箋を戻し、トイレの中で寝ていたマサヤを解放する。
「姉妹会議の結果、マサヤも子供じゃないので自己判断に任せることにしました。でも、なにかあったら相談しなさい」
「うん、ありがとう!」
マサヤは封筒を受け取り、部屋へと消えた。
「これでよかったのよ」
ヒカリは誰にも気づかれず涙を拭った。
あと1回!




