52日目 すたんど
「姉ちゃん、僕人間やめる」
「…………アカリ、大変! マサヤが大きな男の子が大好きな、某有名作品のキャラの真似をしてる!」
「いや、私に言われても。なにがあったの、お兄ちゃん」
「聞かないで、恥ずかしいから! もう僕生きていられないから!」
「まさか……! マサヤ、学校でいじめられたの? わかった! お姉ちゃん、ちょっと国家権力に働きかけてマサヤをいじめた人間を公開処刑にさせるから!」
「違うよ。そうじゃないんだよ」
「お兄ちゃんのツッコミに覇気がない。相当なことがあったの?」
アカリまでも心配している。
「国防省に電話するけど、戦闘機と戦艦はどれぐらい必要? 戦車もいるかしら?」
「全部いらないからお姉ちゃん落ち着いて!」
「わかったわ。ホームセンター行ってチェーンソー買って来るから待ってて!」
「ああもう! 落ち着いて! お兄ちゃんもうだうだしてないで、なにがあったか早く話して!」
「うん……。あのさ、でもやっぱりこれはいじめかもしれないんだ」
「ちゃんと話してくれなきゃわからないよ」
こういう時のアカリの冷静さは頼もしく感じる。
「これ、なんだ……」
マサヤは肩に襷がけにしたカバンから一枚の封筒を取り出した。
「なに、このピンク色の、その……えっと、口にするには憚られるようなものは。ってお姉ちゃん、なんでチャッカマン!」
「燃やす。家ごと燃やす」
「アカリ、姉ちゃん、僕どうしたらいいのかな? 生まれて初めてもらったよラブレター」
「死ねばいいと思うよ(相手の女が)」
「姉ちゃんがアカリみたいになった!」
波乱の予感……?




