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46日目 女なら一度はやる

 風呂上りの火照った体を冷ますように脱衣所で一糸纏わぬ姿で立ち、外の気配を探る。

 マサヤとヒカリは相変わらず仲良さそうにゲームに興じている声が聞こえる。

 アカリは静かに洗面台の横から体重計を取り出して、床に置く。

 そして神経質なまでにメモリを調整してから、恐る恐る片足だけ、へっぴり腰になりながら置く。

 針の動きが想像以上に大きく動いた。

「大丈夫、増えてない増えてない」

 最近は寝る前に腹筋や背筋をしている。……正確には昨日からだけど。

 そして現在お腹が筋肉痛で痛い。

 たった10回しかやっていないのに!

「よし」

 はあ、とお腹の中に溜まった空気を吐き出して、左足をのせようとするが、そこで一つの考えに至る。

「肺の中に空気があった方が軽くなるのかな。浮くという意味で」

 学校の身体測定では靴下を脱ぎ、髪留めを取るのは基本中の基本で、朝食を抜くなんて最早、一般教養レベルだ。

 しかし学校の行事としての身体測定と違って家にある体重計は色々な現実を――成長という甘い言葉では納得させてくれない現実をぶつけてくれる。

「アカリ、早くのれば」

「お姉ちゃん、いつの間に!」

「お風呂入りたいのよ」

「ごめん、すぐに退くから」

「じゃ、よろしくね」

 ヒカリは去り際に独り言のように呟く。

「片足でのっても、体重はそんなに変わらないけど、それになんの意味があるのかしらね」

 この日、アカリは生活を改めようと思った。

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