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序章

 ボクの腹には、ボタンがある。

正確に言うと、それは腹の中心、臍にくっついている。

いつからあるのかは、ボクですら分からない。

気付いたらそこにあった。

他の人にはないらしい。

他の人には見えないらしい。

ボクはそれを、「リセットボタン」と呼んでいる。


 だいたい、この世の中、後になって後悔する事ばっかり多すぎる。

後になって後悔…というのも変か。

後になって悔いるから後悔、なんだし。

誰だって一度くらい思った事があるだろう?

あの時、やり直せたら…。

普通はまあ、無理だよな。

「あの時」は2度はない。

通り過ぎた時間は過去には戻らない。

ところがその点、ボクはおおいに恵まれている。

なんてったって、ボクの腹にあるのは、「リセットボタン」なんだから。



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