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A MEMORY OF BLOOD   作者: T.N
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第十一話 怒気

最近ずっと二人ともイチャイチャしていたので、今回はそれは少なめにしました。

「お、この服は君に似合うんじゃないか!? 」


 今僕たちは、店先で服を物色している。……これでは、普通の買い物と全く変わらない。


「服もいいけど、ちゃんと見回りしようよ」

「もちろんだ。だが、そのついでに服を見るぐらいならかまわんだろう? 」


 そう言いつつも、皆川は店内への第一歩を踏み出している。それはついでとは言わない。


「こらこら」


 僕はあわてて皆川の腕を掴んで店から離れる。


「むうー」


 皆川はすごく不満そうだ。いや、どう考えても君が悪いでしょ。


「ほら、道草食ってないで行こう」


 僕が促すと、皆川は渋々歩き始めた。そして、先ほどまでしていたのと同じように僕の右腕に左腕を絡ませた。その行動に、僕は思わずどきりとしてしまう。もう、三十分以上こうして腕を組んでいるのにもかかわらず、僕は全く慣れなかった。むしろ、さっきよりも悪化している気さえもする。顔が熱い。鏡がないからわからないが、僕の顔は今、太陽顔負けに赤く染まっていることだろう。僕、倒れるかも……。


「だ、大分歩いたね。ここらで休憩しようか。ほ、ほらあそこでアイスクリーム買ってくるからさ、ベンチもあるし、座って一緒に食べようよ」


 僕は、すぐ先のほうにあったアイスクリーム店を指さして言った。さすがに、アイスを食べている時ぐらいは腕を離してくれるだろう。


「そうだな。……アイスは私が買ってこよう。座って待っていてくれ」

「えっ、いや僕が――――」

「私のほうが付き合ってもらっているんだ。私に行かせてくれ」

「わかった。じゃ、あそこに座ってるから。頼んだよ」


 僕は、素直に好意に甘えることにした。ここで断っても皆川に悪いし。


「うむ、まかせられた。これは持っていてくれ」


 僕に日本刀を預けると、たたたっと皆川は駆けて行った。僕は、離れた場所にあるベンチに座った。よし、とりあえず離れることができた。今のうちにクールダウンを……。と考えていたときだった。いきなり罵声が耳に飛び込んできた。

 何事かと目を向けると、皆川が五人のガラの悪い人たちに絡まれていた。そのうち三人は鉄パイプを持っている。おそらく、皆川が前に話していた連中だろう。僕は、急いで飛び出そうとしたが、皆川ならしばらくは大丈夫だろうと思いなおし、様子をうかがうことにした。

 皆川は両手にアイスクリームを持ったまま、連中と対峙していた。若い店員の女性は、恐怖のためか固まってしまっている。周囲の人々も遠巻きに見つめるだけで手を出そうとしない。周りからの援助は期待できなさそうだ。

 そうこう考えている間に、連中の一人が鉄パイプを皆川に振り下ろした。皆川は華麗なステップでこれを避けた。つぎつぎと連中が攻撃をするが、皆川には当たらない。これなら皆川でも大丈夫かなと思ったが、なぜか皆川が焦ったような顔をしているのに気がついた。それに、なぜか避けるばかりで一向に攻撃しようとしない。それどころか、避ける動作さえも、僕と戦った時よりも明らかに鈍重になっていた。



 皆川が両手に持っているアイスのせいだと、僕はすぐに気がついた。彼女はなぜかアイスを手放そうとしないばかりか、かばいながら動いていたのだ。足は避けることに専念しなければならず、蹴りにまで使う余裕はない。


「なんでっ!? 」


 僕は思わず叫んでいた。なんでアイスを離さないんだ!? アイスなんていくらでも買えるだろう!? 僕の考えとは裏腹に、皆川から放そうとするそぶりは見られない。と、皆川がとうとう鉄パイプの攻撃を避けそこなった。鉄パイプの一撃が彼女の左足に当たり、バキッという嫌な音を立てる。皆川がどさりと倒れた。それでも、皆川はアイスをかばいつづけ、放そうとしない。連中の一人が、とどめとばかりに鉄パイプを振り上げた。

このままでは、皆川が殺される。



 ブツンッと僕の頭の中で何かが切れたような感じがした。とたんに、力の源泉にしてあった栓が緩み、力が体全体を駆け巡る。

 僕は、意識せずに走り出していた。人間には不可能な速さで。

次回、再び主人公無双!!

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