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静岡県民が異世界行った件

作者: 山戸 谷
掲載日:2025/11/05


異世界に来てしまった。

 予兆はあった。自分の行動を奇異な目で見られたり、見たことのない形状の物を見かけたり……。

 そう思いながら悠人は真っ白な世界を歩いていた。


 12月下旬のとある日。悠人は降り積もった雪にダイブした。

 悠人は静岡県民である。雪が数ミリでも積もれば、生徒も教師も喜び庭を駆け回る生粋の静岡県民である。

 だからダイブした。だってやりたかったから。

 結果、ずぶ濡れである。顔も、ニットのセーターも、ジーパンも、ビッチョビチョである。

 悠人の友人はバカを見る目でこう言った。

 

「北陸だぞ。水気が多いに決まってるだろ」



 

 とある日、颯爽と自転車で通学する地元民を尻目に、悠人はすり足で歩いていた。

 降り積もった雪が溶け、また凍り、最終的にただのトラップとなった道路をすり足で歩いていた。

 何度も転んだが、めげずに歩く。

 就活の自己PRに書けるほどの不屈の精神である。

 悠人は道路に設置されたスプリンクラーを睨む。

 コイツがこのトラップを仕掛けた犯人の一人だ。道路の消雪という名目で歩行者にとってのデスロードを作り上げた凶悪犯。


「あっ」


 スプリンクラーが視界から消える。

 また転んだ。



 

 またとある日、悠人は遊歩道を歩いていた。多くの田んぼを突っ切るように設置された遊歩道は、悠人が通学路として使っている道でもあった。

 まっさらな雪を踏みつけて、道を開拓しながら突き進む。長靴は完全防水の物を履いている。大丈夫、隙はない。デスロードを進むよりマシだ。

 元々その日は天気が悪かった。横殴りの風と雪に耐えながら進んでいると、気づけば真っ白な世界にいた。

 前を見ても後ろを見ても上を見ても白白白――。

 

(…………遭難した!)


 していない。

 かろうじて遊歩道の柵が見えたので、それを掴む。

 遊歩道は一本道だ。このまま進めば家に辿り着ける。はず。

 自分で走馬灯を再生しながら歩いていくと、家の影が見えてきた。

 悠人は家に駆け込み靴を脱ぎ、雪のついた上着を脱ぎ捨て、布団を被る。

 暖房のスイッチも忘れない。


(……ありえない、こんな事ってあるのか。まるで異世界じゃないか……!)


 


 この物語は実体験をもとにしたフィクションです。

 なお、小説では省きましたが「つららを下から見上げる」という実績も解除してます。生きててよかった。

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