【特別な日】告白…大好きって言いたい日
放課後の空気は少し冷たかった。けれど、目の前に立つ彼女――桜雨くりすの表情は、その冷たさを吹き飛ばすほどに熱を帯びていた。
「ねぇ……今日ってね、くりすにとって、すごく特別な日なんだよ」
声が少し震えていた。緊張しているのだとすぐにわかる。……息をのんで、ただ彼女を見つめた。
「なんでかって? それはね……ずっと胸の中で温めてた気持ちを、やっと伝えようって決めたから」
彼女は真剣な瞳を向けていた。その眼差しに、逃げられないと悟る。
「くりすね、ずっと、あなたのことを特別に思ってたの」
その言葉に、心臓が一気に早鐘を打つ。まさか、と思いながらも視線を逸らせない。
「ただの友達とか、優しい人っていうだけじゃなくて……もっと、もっと大切で……。気づいたら、目で追ってて……声を聞くだけで嬉しくて……」
赤く染まる頬、恥ずかしそうに言葉を重ねる姿は、愛おしさそのものだった。
「会うたびにドキドキして、目が合っただけで、顔が赤くなっちゃうくらい。もうずっと前から、特別な人だったんだよ」
彼女は小さく笑ったあと、すぐに切なげな顔に変わる。
「ほんとはね、何度も諦めようって思ったんだよ。『友達のままが楽しいから』って、自分に言い聞かせたり……。でも、それじゃ苦しくなっちゃって」
その声には痛みが混じっていた。
「だってね、あなたが他の子と楽しそうにしてるのを見ちゃうと、胸がぎゅって苦しくなるの」
彼女の告白に、胸が締めつけられる。
「だから、今日は言うね」
まっすぐな瞳が、心の奥まで見つめているようだった。
「……くりすね、あなたのことが、大好き。世界で一番、大好き」
涙ぐみながらも、彼女はまっすぐに言葉を続ける。
「友達じゃなくて……恋人として、そばにいたいの」
「くりすと…付き合ってくださいっ!」
その想いの強さに、答えを迷わなかった。彼女は目を大きく見開き、震える声で問いかける。
「……えっ、いいの? ほんとに、くりすでいいの?」
その表情に、優しく頷いた。
「……うそみたい……夢じゃないよね?」
涙ぐみながら笑う姿に、胸がいっぱいになる。
「ありがとう……。あなたの『好き』を聞けて、くりす……すごく幸せ」
頬を赤らめて笑う彼女は、誰よりも可愛らしかった。
「これからは、もう隠さずに『大好き』って言っていいんだね」
緊張がほぐれたように、彼女の声が柔らかくなる。
「なんかね、緊張してたのが全部ふっとんじゃった。あぁ……やっぱり、特別な日だね、今日」
彼女はそっと手を差し伸べる。
「ねぇ……手、つないでもいい?」
指先が触れた瞬間、温かさが全身に広がった。
「……あったかい。こうして触れてるだけで、心臓がドキドキして止まらないの」
つないだ手をぎゅっと握りしめ、愛おしそうに見つめる。
「これからはね、わがまま言っちゃうかもしれない。いっぱい甘えちゃうかもしれない。寂しいときは、泣いちゃうかもしれない」
「でも……その全部を、あなたに見ててほしいの」
不安を混ぜながら、それでも勇気を出して彼女は告げた。
「ねぇ……お願いしてもいい? ぎゅーってして。……うん、もっと強く」
腕の中に収まった彼女は、安堵したように目を細めた。
「ふふっ……幸せ……。あなたの匂いも、ぬくもりも、全部大好き」
甘えるように囁く声が、心を溶かしていく。
「今日からはね、もう隠さない。好きって、何回でも言うから」
彼女の声は、揺るぎない愛で満ちていた。
「だって……あなたは、くりすの大切な人で、これからもずっと一緒にいたい人だから」
「……ねぇ、大好きだよ。ずーっと、ずっと、離れたくない」
涙ぐみながら笑うその姿は、かけがえのない宝物だった。
「今日から……あなたの彼女になりました、桜雨くりすです♡」
「これから、よろしくね。ずっと、ずーっと、大好きだから。心はいつも一緒だよ」
その言葉と笑顔が、この日を二人にとっての“特別な日”にした。
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