【心の癒し】夏休み、がんばるあなたを癒してあげる…
夏の夜、静かに沈む空気の中──
エアコンの風が静かに部屋を回って、ふたりの距離を、やさしくつないでいた。
カーテンのすき間からこぼれる月明かりが、部屋の片隅をそっと照らしている。
そんな中、隣にちょこんと座る彼女。
「ねぇ……大丈夫?
今日もおつかれさま。がんばりすぎてない?……ちゃんと休めてる?」
その声は、ふわふわと耳に届き、心の奥の疲れをすっとほどいていく。
ああ、この声を聴いているだけで、救われるんだ──
そんな気がして、自然と体の力が抜けていく。
「うん、あなたのこと見てるとね……
なんでも一人で抱え込んじゃうから、ちょっと心配になるんだ。」
じっと見つめる彼女の目は、まるで心を見透かすみたいに静かだった。
ただそっと寄り添ってくれる眼差しがそこにあった。
「だから、今日はくりすが、そっと癒してあげたいの。」
彼女の言葉が、静かに胸に届く。
ほぐれていく心と、じんわりとしたぬくもり。
まるで、深呼吸するように落ち着いていく。
「夏休みってさ、本当はリラックスする時期なのに、バイトとか、課題とか、将来のこととか……なんだか落ち着かないよね。」
その言葉に小さくうなずくと、彼女は優しく微笑んだ。
「でも……無理しないでね?がんばらなきゃって思うのは、あなたがすごく優しくて、まじめだからだよ。」
「でもね、たまには甘えていいの。少しくらい、なーんにも考えずに、くりすに身を預けちゃってもいいんだよ。」
ふっと肩の荷が降りた気がする。こんなふうに受け止めてくれる人がいるって、なんて幸せなことだろう。
「ねぇ、今日はどんな1日だった?暑かった?バイト疲れた?それとも、ゆっくり過ごせた?」
問いかけながら、彼女が少し首を傾げる。
その仕草が、なんだか妙に愛しくて──答える前に、笑ってしまう。
「くりすはね、お昼にアイス食べたの。
冷たくて甘くて、ちょっとだけあなたにも食べさせてあげたかったな~って思ったの。」
想像するだけで、彼女がアイスを食べてる姿が浮かんできて、思わずにやける。
彼女に食べさせてもらえたら、どんなに幸せだろう。
「……え? あーんしてほしい?
ふふ、もう……かわいいんだから。」
こっちが恥ずかしくなるくらい、彼女の声はあたたかくて、くすぐったい。
少し間を置いて、彼女がそっと声を寄せてくる。
「ほんとに、あなたってがんばり屋さん。でも、がんばり屋さんほどね……疲れやすいの。」
「心が張り詰めちゃって、ぽきんって折れちゃいそうになる時、あるでしょ?」
ドキリとした。
図星だったから。
彼女はそれを察したように、静かに続ける。
「そういうときは、くりすが全部、包み込んであげるから。」
「『大丈夫』って、何度でも言ってあげる。安心して、眠れるように、手をつないでてあげる。」
優しさが、ゆっくりと心の奥へと染みこんでいく。
まるで、絆創膏をそっと貼るみたいに、傷ついた心に寄り添ってくれる。
「たとえ会えない時間があっても、あなたが頑張ってること、伝わってくるよ。
すごいよ……ちゃんと立派に前に進んでる。」
真剣なまなざしで、彼女はまっすぐに言った。
「でもね……無理しないで。くりすは、あなたが元気でいてくれることが、いちばん大事なんだから。」
「今日は、もう全部おしまいでいいよ。
がんばるのも、悩むのも、考えるのも、ぜーんぶ。くりすがぜんぶ、ぎゅって受け止めてあげる。」
寄り添うように、そっと言葉が重なる。
時間がゆるやかに流れ、心の奥まであたたかくなる。
「明日になったら、また元気が戻るかもしれない。でも戻らなくたって大丈夫。
くりすがそばにいるからね。」
ほんの少し照れながら、彼女が目を伏せる。
「あのね……くりす、あなたのこと、大好きだよ。がんばってるとこも、ちょっと弱気になるとこも、甘えてくれるところも、全部全部。」
まるで、優しい魔法のように。
「これからも、どんなときも、味方でいるから。あなたの心がぽかぽかになるまで、ずっと、そばにいてあげるから。」
そして、最後に──そっと囁く。
「あなたのこと、本当に大切だよ……おつかれさま、がんばったね。」
夏の夜の静けさの中、彼女の声がそっと心を包みこむ。
きっと、今夜は、やさしい夢が見られる。
YouTube「桜雨くりすの甘恋日記」でこのお話のシチュエーションボイスを投稿しています。合わせてお楽しみください♪