真剣勝負
いーやーーーーーーっ!
作品情報とかでネタがばれるぅ!?
白刃が煌めいた。
純白の剣と呼ばれるこの剣は、彼が当初使っていた幅広の剣より瀟洒で、敵と攻撃を打ち合い、その攻撃を受け払うには少々頼りなく見える。
だが、そんな見た目とは裏腹にこの剣は力強く、鋭い。
敵の全身鎧を切り裂き、神話に聞く竜の鱗すらも貫くこの刃、斬れぬ物はないのではと、そう思わせるに足る素晴らしき一品なのだ。
だが、決して油断は出来ない。
ここは敵地だ。
味方は居らず、頼りになるのは己の肉体と、身につけた装備のみ。
孤立無援の状況と言える。
それでも臆する必要はない。
今全身に纏う黄金に煌めく鎧は己の勇気をちからに変える、神の加護を得た鎧なのだ。
臆してはいけない。
臆する必要は決してない。
勇気を胸に足を踏み出す。
それだけで、剣を構える腕にちからが加わる。 敵の攻撃を受け止める身体にちからが湧いてくるのだ。
不意に飛んできた呪文を盾で叩き落とす。
この盾も紅き輝線の盾という一点物の品だ。 この様に相手の放ってきた呪文を潰すなど、この盾がなければ出来ないに違いない。
二度、三度と飛んでくる呪文を弾き、潰し、そちらを見ると、通路の先にいるのは死者の魔法使い。
そこにいるのは階位は中位、中級の魔法使い呪文を使うゴースト。 中位中級といえど厄介な相手に違いはない。
素早く移動し、壁をすり抜け呪文を放つ。 その呪文はちょっとした壁くらいなら一撃で破壊し、またその姿は本来目視する事が難しい。
今は灯火を灯しているから良いが、そうでなければ発見する事も難しかったに違いない。
だがキャンドルはそう長く保つものではない。 然程の時間を於かずに消えてしまうだろう。 そうなる前に新たな物を手に入れられれば良いのだが……。
乱発される呪文の隙を見極め、剣を一閃する。
呪文を放つ死者はあっさりと霧散するが、こちらの被害はそれなりだ。
盾で防げたとは言え、その衝撃は大きい。
正面から突っ込んできたが故に、こちらもそうするしかなかったのだが、それでも真正面から受け続けたのは考えなしだったと言える。
しかしこの厄介な敵を倒せたのは大きい。 そう安心してしまった、その瞬間。
別の呪文が飛んできた。
下級魔法使いの呪文。
それを放ってきたのは紅い粘体生物だ。
奴等は知性の欠片も見えないその姿で、呪文を使う事が出来るのだ。 壁に当たって弾けてしまう程度の呪文ではあるが、今受けるのは危険極まりない。
別の通路へ転がる様に逃げ込むと、不意に『壁を突き抜けて』呪文が飛んできた。
――馬鹿な……、こんな所で、オレは……………………
ゆっくりと視認出来る、出来てしまう呪文。
最高位魔法使いの呪文。
最高位の魔法使いがいたのか……。
――オレは…………、オレは……………………。
◇ ◇ ◇
「ははは、ゲームオーバー。 それじゃ交代な」
「くっそー、しくじったぜ」
「まあ、初心者で14階まで来れたんなら大したもんじゃね?」
「~~その上から目線がムカつく~」
1984年7月。
ナムコより発売されたファミリーコンピューターゲーム「ドルアーガの塔」。
子どもたちの真剣勝負は、とても平和だった。
ホワイトソード=5F、キャンドル=6F、11F、レッドラインシールド=13F、
14F ドルイドゴースト*1 ウィザード*1 レッドスライム*4