ひどい目は続くよ、どこまでも
昼休み、学校の中庭に出た。中庭は校舎に囲われたグラウンドの横に沿うように作られていて、芝生の上にいくつかベンチが設置されている。
春の暖かい日差しのなか周囲を見渡すと、リア充達がベンチに集まって、昼飯やバトミントン、スマホゲームとか楽しんでいる。なにあの聖域。俺みたいな非リア充には肩身が狭い。リア充爆発しろ。
なので俺は中庭のいっちばん端、大きな木がぽつんとそびえる所へ向かった。ここは日中でも大きな影が出来る物静かなところ。お昼の時間に好んで来る奴は滅多にいない、俺の隠れ家的なスポットだ。
大きな木に背を預けながら座った。リア充どもから隠れるかのように。
「ふぅー」
すげぇホッとする。
上を見上げると、木漏れ日が俺の目にきらきらと、優しく降り注ぐ。光と影のコントラストがキレイで、ただボーッと見てるだけでも癒される。
「ほんと………、ひどい目にあった」
思わず口に出たが、それに尽きる。
俺はポケットからスマホを取り出した。
画面には『マッチングゥ』の憎きアプリ。
俺のお母さんから始まり、クラスメイトの錦戸も加わり、てんやわんや。
ほんと今すぐにでも『マッチングゥ』を消したい! でも無理だったんだよなぁ。
「はぁー・・・・・・」
どうしたら良いんだろ、これから。てか、まず錦戸をどうするか。猫の写メを送らないといけないんだよなぁ………。
ぐう〜。
腹の虫が鳴った。
悩んでも腹は減る、か。今は、お弁当食べよ。
俺は持ってきたお弁当を開けた。
「おおっ」
大好きなハンバーグを見てついテンションが上がる。あと卵焼やポテトサラダも良いですな、あっ、ミニトマト入ってる、これは無くてもよかったのに。
まっ、とりあえず、食べますか!
俺はお箸を持ち、ウキウキの気持ちで『いただきます!』を言おうとした時だった。
「ごめんね、お昼に呼び出して」
いいっ!?
思わず両手で口を塞いだ。あぶねぇ!! あともう少しで『いただきます!』って元気よく言うとこだった! 恥ずかしい!! てか、誰だ! 俺のランチタイムを邪魔する奴は!!
誰かがそばに来ているのに気づかなかった。幸いにも、俺は木の側に隠れるように座っていたから、相手側も気づいてないみたいだ。
だから、そのまま隠れていたら良かったんだ。なのにあのときの俺は、
気になって、そっと、木の端から顔を出してしまった。俺の視線の先にいたのは、後ろ姿の男子。顔は分からないが、髪型や佇まいからイケメンオーラを発している。妬ましい。ん? あともう1人誰かいる?
背後イケメン風男子の正面に、女子がいた。
「ううん♪ 全然大丈夫だよっ」
いかにも男子ウケしそうな可愛い声音で、その女子は明るく笑う。両頬の小さなえくぼがこれまた愛らしさをマシマシにしている。
そっか良かった、とイケメン風男子は軽々と会話していた。爆発しろ。
ふふっ、うん。と彼女が優しく微笑む。サラリと淡い桜色の髪が春風に揺れる。ついでに短いスカートも。じょ、女子力がやばい。見てるだけでドキドキもんだ。
ちらっ。
いっ!? やべっ!!
俺は慌てて顔を引っ込めた。
心臓がバクバクと鳴る。
み、見られた!? ば、ばれた!?
「美結ちゃん」
イケメン風男子が言った名前、美結という女子に!?
「良かったら、僕と付き合わない?」
なっ!?!?
なに告白してんだよ!!
俺の鼓動がより激しくなっていった。
い、嫌な場面に遭遇しちまったああああああー!!!!
後半に続く(ちびまる子ちゃん風)




