4.メダリオン
「ねえ、アレ見せてよ!」
授業も終わった放課後、帰りの支度をしていると急にニノに呼び止められた。
「またか? しょうがないなあニノは」
オレは首から下げた小さなメダルを取り出すと、自慢げにニノに見せてやった。
「うーん、相変わらずの謎素材よね……このメダリオン、本当に何で出来てるのかしら?」
「それに見たことのない文様だしな、持ってるオレでも何なのかわかんないシロモノだぞ!」
「いばって言う事じゃないでしょ……」
オレのこのメダルは、貴族のニノでも見たことのない素材で出来ているらしい。
文様も意味不明だし、まさに謎だらけなんだ。
謎のメダル……謎という響きがたまらなくカッコいい、オレのお気に入りのである。
「へへ、ウチの家宝の天の軍の証だからな!」
「え~……シズクのお父様が言ってたじゃない「それ家宝って言ってるけど、実は
ひい爺ちゃんが川で拾ってきたものなんだ」……って」
「くっ、よく覚えてるなそんな事」
これ見よがしに胸を張ったオレに、すぐさまニノのツッコミが入る。
「それにソウルさんとこにも同じのが拾ってたんでしょ?」
「そ、それを言うなよ。こ、これは天の軍の証なんだって、オレは信じてるんだ!」
それにソウルのさんのとこは、ずいぶん前にメダリオンを無くたみたいだし。
だからオレの持っているこれが、唯一の天の軍の証の家宝なんだ!
「はいはい、あたしが悪うございました。それは天の軍の証のメダリオンだわ」
「そ、それでいいんだよそれで」
ニノがぞんざいにあやまってくる。くっ、何か負けた気分だ。
「そういえばソウル家って昔に子供がひとりいなくなったんじゃなかった?」
「そうだっけ?」
「確かそうよ」
そうだったかもしれないし、そうじゃなかったのかもしれない。
うーん、いまいち覚えてないな……。
「まあいいや、帰って昨日の続きやろうぜ!」
その日は帰ってから日が沈むまで、ニノといっしょに天の軍ごっこを楽しんだのだった。
閑話的な感じで短いです。