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目の前の目標(後)

「はっ…はっ…はっ」


あれから何度足をかけただろうか、

目の前の存在がひどく大きく感じられる。

目の前に聳え立つそれは私の攻撃をものともせず、

足をかける隙間すら作らせてはくれない。

もういっそのこと諦めてしまおうか、

こうもやられてしまうと気が滅入る。


「少しだけ…歩くか」


ほんの気分転換のつもりだった。

その踏み出した一歩が良くも悪くもこんなことになってしまうなんて。


____________________


1回目


とりあえず足をかける。

あっけなく失敗。


2回目


腰に携えたそれを初めて抜いたのはこの時だった。

思いっきり振ってみる。

甲高い音を立てる。

あっさりはじかれた。

気が立てていい音なのだろうか。

この木が固いのもそうだが私が未熟すぎる。

自分でもわかるほどなんにもなっていない。


..........

50回目

そろそろ腕がつかれてきた。

もうやめようかと思ったその時、

ちょうど大木を背にして真正面から大きな音が鳴った。

鳥が一斉に飛び立ち、木々がざわめく。

ちょうどいいから休憩ついでに見に行くことにした。

そうして歩き続けて数分、

私は気圧されていた、

明らかに自分より強大な存在に。

一歩踏み出す足取りが重い。

そろそろ見えてくるからだろうか。


木々をかき分け光が差し込んでくる。

大体大木の周りと同じくらいの大きさが開けていた。

そしてとりわけ目立つものが一つ,

洞窟だ。

入り口は倒木によって人ひとりはいれるかどうかのほんの小さな隙間が空いているだけだ。

そしてさっきから感じている圧倒的な力はその奥から流れ出ている。

きっと私は疲れていたのだろう。

こんな見るからに危険な洞窟に足を踏み入れるなんて。

剣を先に投げ入れる。

地面に激しく叩きつけられて大きな音を立てる。

そしてつぎはわたしの番だ。

慎重に登っていく。


「私入れるかなぁ…あっ…いけそう!」


わずか数ミリの余裕しかない隙間から滑り込む。

ギリギリ腰が通って良かった。


「っと」


幸いそこまでの高さはなかったので安定して着地することができた。

そして、

入口からは予想できない広大な空間が、

私を迎え入れた。

恐る恐る進んでいくと力の発生源を発見した。

その【なにか】は、私の体なんてゆうに超える大きさで。

されどそのとてつもない威圧感とは裏腹に、

ぐったりしている様子だった。

一歩、また一歩と近づいていく。

私は【なにか】の形をはっきりと捉えることができた。

横たわって見えずらいが…

四本の足には鋭い鉤爪。

長い尾。

鋭い牙に頭から伸びている角は美しい曲線をしている。

そして極め付けは…羽だ。

大きなそれは空気を打ち、空を駆けるに十分な大きさだった。

龍だ。

実物を見るのは初めてだ。

なんせ御伽話の中にしか出てこないような

伝説級の存在なのだから。

ぐんと顔が起き上がる。

ゆっくりとこっちを向いた。


「えと…あ~……こんにちは?」


死んだわ、これ。

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