目の前の目標(前)
「行ったようだね」
「お姉ちゃん、大丈夫かな……」
「大丈夫だよ。私の構築した理論に間違いはない……はず」
「怖い言い方しないでよ……」
「ま、まあウジウジしてても仕方ない!私たちは私たちのできることをしよう」
「まずはあれあれをどうにかしないとね…」
そう言ってそこにいた全員が轟々と音を立てているポータルを見つめた。
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「はぁ……まさか自分がこんな森の中にいたなんて」
あれから少し歩いたがそのうち大樹に戻ってきてしまった。
日が落ちてくる前に火を起こしたほうがいいと思ったのだが……
「まさか火を起こすことがこんなに難しかったなんて……」
日が出ている間はまだ良かった。
完全に暗くなるともう全くダメだった。
暗すぎて何にも見えない、寒くて手が凍える、
久々に危機感持ったね、あれは。
やっとの思いで起こした火を見つめながら明日の予定について考える。
「さて、明日には人里に行かないとな。」
あっちはもう行ったから……
次は…あっち……
消えゆく意識の中で私は夢を見た。
それはひどく懐かしくて……暖かい感じがして……
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「どうやったらお姉ちゃんみたいに森の中でもまっすぐ歩けるの?」
「方法はいくらでもあるけどそうだなぁ…一番手っ取り早いのは近くで一番高いところに上ることかな」
「高いところに?」
「そう。単純な話,それだけで遠くまで見えるからね。まぁめっちゃ大変だけど」
「へーー」
かわいい。
「***も私みたいに魔法が使えたからなあ」
そう大賢者様が言う。
「それ参考にならないでしょ」
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瞼のわずかな隙間から差し込むまばゆい朝日によって一気に現実へと引き戻される。
(忘れたく……ないのに……!)
それはとても大切な,そして絶対に忘れてはいけない記憶のはずなのに
(いかないで......)
覚醒し始めた意識から小鳥のさえずりが耳に飛び込む
「ぅぐ......ひぐっ......…あれ,私どうして泣いて…」
遠い遠い昔の記憶だろうか,懐かしいものを見た気がした。
大丈夫、まだ覚えている。
大丈夫だから、そう自分に言い聞かせて、少し落ち着いた。
「高いところに…行く.....」
失ったはずの記憶は今やるべきことを教えてくれた。
視線を上げた先には大樹があった。
そう、このあたり一帯を探索した今ならわかる、このあたりでとびぬけて高い木だ。
「これって…登れるのか?」
目の前にそびえたつそれを見ると少しだけ怖気ずいてしまう。
軽く足をかける
ズルッ
大きな音を立てて足を滑らす。
思ったよりもしっかりした作りのようだ。




