19話
あれから状況は一気に変わった。いや、すべてが元に戻ったのかもしれない。クラスメイトが帰ってきて、母も朝起きてみたら居て、スマホを確認してみると奏斗の連絡先も帰ってきていて、しっかり変わった点といえば私がしっかりと鯨子と名乗り始めていたことだった。
あの時の話など無くなかったかのように、全員がしっかりと定位置にいた。それに対する気持ち悪さは消えない。でも、ペンダントのおかげか変な地響きは起きなくなっていた。
きっとすべて彼女のくれたクジラとペンダントのおかげだろうと思う。そこに感謝はあるけどやはりどこかまだ感謝しきれない心があった。だって、彼女は私になんの恨みも無いとは思えないから。私は彼女に好かれていたとはいえ、やはりどこか彼女を疑ってしまう。
こうやって私のことを守ってくれているのに、それでも疑ってしまう自分が悲しかった。でも、だからと言って速攻直せるかというもう癖になっているため直すこともできない。
そうは言えども、もう彼女に依存し続けるわけにもいかない。そう思って、もう一度今までとの別れ、そして改めて別れを告げるためにお墓に行ってみることにした。彼女の名前が刻まれた墓の前に向き合ってみて、彼女が死んだことを本格的に実感させられる。
「ごめんね。紫苑。今まで来れなくって。でも、今までずっと仲良くしてくれてありがとう。私さ、そろそろ独り立ちするよ…。今まで、ずっと一緒に居てくれて、本当にありがとう。もう少しこっちの世界で遊んでからそっち行くね。またね」
そう言って、去ろうとすると後ろから『こちらこそありがとう。頑張ってね。いつまでも応援してる』と言う彼女の声が聞こえてくる。そちらを確認しようと振り向いても誰もおらず、そこには彼女と病室内で話していたあのクジラの姿だけが彼女の墓の前でこちらを見ていた。
今回は『白流す鯨』を最後まで読んでいただいた方ありがとうございました。
月野美麗と申します。
今後も沢山作品を出す予定ですので良くしていただけると光栄です!
えー、今回はとある方から頂いた《白流す鯨》という題材で書かせて頂きました!
白から連想される言葉は『無』や『祝福』『喜び』など。流すはそのまま流すという意味で。クジラは『そのための装置』というのをイメージして書かせて頂きました!
全体的に流里改めて鯨子は無とクジラに、そして紫苑には祝福と喜びを、となるように構成しました!
今回のお話は、全体的に言葉で形容しがたいお話だと思います。その上多分読者を置いていってしまってないかと不安になっておりますが、楽しんで読んでいただけてたら光栄です。
それでは、あとがきが長くなりすぎないうちに失礼致します。ということで、月野美麗でした!




