第8話 夜闇(やみ)と魂
魂の形は完全にオリジナルです。
夜闇もオリジナルですが、似たようなものは存在すると思ってます。
死神は確実にいるので。
いつもありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
ジャック・リーは、ジャック・ボーガンの開いた体の中に手をズブリと突っ込むと、何かを取り出した。何だろうと思ってダニエルは訊いた。
「何です? それは」
「これは、所謂、『魂』ってやつだ。見てみるか?」
「はい」
ジャックから球をもらって、手のひらの上で転がしながら眺めた。よく見ると、球は青白く、真ん中に穴が一つ開いている。球は、月にかざすと、さらに青白く、しかしキラキラと光った。ダニエルは球の穴から月を覗いてみた。
「この穴は何のために?」
「これは肉体と魂をつなぐ光の糸を結びつけるためのもんだ」
「なるほど。人間が死ぬと、この穴につながっていた糸が切れる訳ですね?」
「そうだ。そんで、魂は、空へ、というより太陽へ還る。ただし死神は別だ」
「と、言いますと?」
「死神ってやつの魂はな」
とここで、ボーガンをとんとん、とジャックは叩いた。
「夜闇と魂が結びついている。夜闇があるとどうなるか分かるか?」
「分かりません……」
ダニエルは正直にそう言った。
「存在するだけで、心や体の病気や、天災、事故、事件が引き起こされる」
「……」
ダニエルは目を見張った。
「そして、人間の命を好きなだけ奪っていく。魂は苦しみでこの世をさ迷いながら、な」
そう言うと、ジャックは『球を返せ』と言うように右手を差し出した。
ダニエルは、差し出された手の上に、丁寧に球を乗せた。ジャックはそれをぎゅっと握ると、作務衣のたもとにボンと入れた。
「私は、今はこんな姿ですが、やはり死神だと思います」
「何故だ?」
「私は、ドリム様に言われるがまま、沢山の人間の命を奪っておりましたから」
「そうだな、俺もそれは否定しねえ。でもよ、そのドリムに言われてることがなかったか?」
そう言うとジャックはおもむろに、作務衣のたもとから何かを取り出した。
「それは……!」
あの、数々の人間を殺すために使ってきた瓶だと、形を見てすぐにわかった。しかし、今は中身はなく、黒くもなく、透明な瓶だった。
「火事のどさくさで亡くしたものだとばっかり……」
ダニエルはそう呟いた。
「悪いが、俺が拾わせてもらった」
ジャックはそう言うと、満月にその瓶をかざしながら、ニヤリと不敵に笑った。
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