第7話 死んだ死神
青葉、何で起きれたの!?
っていう突っ込み。
いつか答えが出るかな。
いつもありがとうございます。
よろしくお願いいたします!
ボンっと鈍い音が後ろの窓からした。
と同時に、ジャック・ボーガンが吹っ飛び、そのまま地面に転がって動かなくなった。ダニエルは剣を構えたまま、後ろを振り返った。
「……!! 青葉……その、手!?」
青葉の左手全体が、淡い水色に輝いていた。窓に突いた手のひらは、白っぽい光を放っている。
ダニエルは、剣を投げ捨てると、青葉の方へと窓をすり抜けて飛んで行った。
呼吸器が外れた青葉は苦しそうに言った。
「ハァ、ハァ……お医者、さん、ダニエル、さん、左手で……『助けろ』って」
ジャック・ボーガンとのやり取り、一部始終を見られていたのだろうか。それはまずいと思った。
「しゃべらなくていいです、さあ、横になってください」
ダニエルはそう言って、もう一度青葉を優しくベッドに寝かせた。
しかし、頭の中は混乱していた。『助けろ』って、誰に……?
「声、聞こえ……」
皆まで言わせないうちに、ダニエルは青葉の目元に手をやって、眠らせるエネルギーを放った。青葉の左手の青白い光が、さらに淡くなった。
「俺の出番だな」
ジャックの声がした。ジャックと言っても、『ジャック・リー』で禿げた頭の方である。
「いつの間に!?」
ダニエルは驚いて声を出した。
「今だよ。ようやくあいつを鎮められる時が来たか……。全く、手こずらせやがって……」
ジャックはぶつぶつと言いながら、ボーガンの倒れている方を見下ろした。
「ダニエル、お前もちいと来い」
「そんなことより、青葉が……!」
「青葉ちゃんはちゃんと眠ってるから大丈夫だ」
「そうですか」
「いいからちいと来い」
「はい……」
ダニエルは言われたとおりにジャックに付いていった。
間近で見たボーガンは、白目をむいて、口から泡と舌を出して、あおむけに倒れていた。無様、この上ない姿である。ダニエルはちょっと吐きそうになった。
「うっぷ」
「どうした?」
「いえ、ちょっと吐き気が……」
ダニエルは口元を右腕で抑えた。
「ああ、お前は『ヤミ』が死んだ死神を見たことがないんだな?」
「ヤミが死んだ、とは?」
「『夜闇』とも書くし、病と書いて『病』と読む霊医もいるが。とにかく、夜闇がなくなった死神なんて、だいたいこんなもんだぜ?」
ジャックは平気な顔をして、メスを入れていく。
「く、ちょっと固いな……。ダニエル、ちいと手伝ってくれるか?」
「嫌です」
即答だ。
「ちいと俺の手の上に手のひらを乗せてくれるだけでいいから」
そう言うと、有無を言わせず、ジャックはダニエルの手を取った。ズブリ、という音とともに、メスがボーガンの体の中に入り、手のひらの下で自在に踊った。
一体、何を取り出そうというのか。
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