第5話 お前は誰だ
スキャナが壊れたのでイラストしばらくつかないです。
申し訳ないです。
とりあえず文章だけで様子が伝わるのか不安ですが。
いつもありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
逃げなければ! とっさにそう思った。だが少々遅かったようだ。
「お医者、さん……」
この呼ばれ方を少女・青葉にされるのは2度目だ。
ダニエルは背中を青葉に向けたまま動くことができない。
「きれいな、銀色の、髪……」
そう聞こえた。呼吸器を通しての声だからくぐもっているが。
少女はハアハアと苦しそうに息をしながら続けた。
「まる、で……神様、みた……い……」
その一言に、ハッとして思わず振り向いてしまった。
今夜は満月だ。月明かりに照らされて、ダニエルの日自摸が蒼く光った。
「そなた、私が視えるのですか?」
青葉はにっこりと目だけを細めた。
「お医者、さん……。お名前、は……? 僕、はね、青葉」
「私、は……」
死神、そう言おうとした、その時だった。月が陰り、部屋が暗くなった。ダニエルは、窓の外で何者かががこちらを見ていることに気が付いた。
「青葉、布団に隠れていてください」
口の端だけでそう言うと。ダニエルは窓をすり抜けて外へ出た。
ボサボサの黒髪。破れている服から出ている腕に、大きな傷跡。右肩上から見えているのは長くて赤い柄の剣。
「ジャック・ボーガン!! 何をされに来たんです!?」
「何だあその銀髪と眼は!? 姿は変わろうとも、その気に食わねえ言葉遣いは変わらねえなァ!! あ゛あ!?」
「そなたは死神界を追放されたはずです」
「お前のせいで、なァ!!」
ジャック・ボーガンはそう叫んで、背中の剣を抜き出すと、大きな図体のまえでぶんと一振りした。
「この俺に傷をつけたこと、忘れたとは言わせねェぜ」
「すっかり忘れてました。そんなことありましたっけね」
ダニエルは素直にそう言った。ダニエルは本当に忘れっぽい。
「なっ……。くっそう、今日こそお前をブっ倒して、ドリム様のもとにその首差し出してやる!!」
「……お忘れになりましたか? ドリム様は、死神の首よりも、人間の命を星画れているということを。だから私はそなたとは戦いません」
「ダニエル・ロイ・モルガン!! お前が俺と戦わねえって言うんなら、無理やりその首頂くまでよ!」
ボーガンはジャンプして、大きく振りかぶった。
「……人の話を聞いてませんねえ。私は、任務中なんです。お邪魔は、御免願えますか?」
ダニエルは、ジャックが切りかかってくるその剣を両手で挟んで受けた後、ボーガンの側に丸くメリメリと折り曲げた。
「……ひっ!! お、お前、あの時と同じ技使いやがって……!!」
ボーガンは瞬間、両手を離して飛び退いた。ダニエルの手に、折れ曲がった剣だけが残った。
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