第44話 ビッシュの弾き語り伝言
~って一体いくつ打ったか分かりませんw 大変でしたw
(どういう意味かはお読みになれば分かります)
最後のオチまでぜひ読んでいただきたいです。
いつもありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
焼け焦げ、鎮火されたままになっている、坂巻青葉の元の家へと向かった。
先客がいた。青い髪で、白いローブをまとって黄色のアコースティックギターを手にしている。その先客は、中肉中背、天然パーマの黒い髪の男死神、テン・ブラックの姿を認めると、腰かけていた瓦礫からおもむろに立ち上がり、ギターをジャン、と鳴らした。
「何や、あんさん? ドリム様の瓶は?」
テンが尋ねると、また、ジャン、とギターを鳴らした。
「知~~ら~~ん~~~♪ 僕はビッシュ。君の名は何なん?」
ギターをかき鳴らしながらビッシュは問うた。
「知らんのかい! オレは『テン』や!」
「あ~り~~が~と~~う、テ~~ン~~♪ 今か~ら、僕~の~~歌~を聴い~て、ドリ~ムに、届~け~なさ~~い~♪」
「もう歌うとるやんけ! しかもドリームやなくてドリム様や!!」
「そ~~う~やね~え~~♪」
そこで一度、とても静かになった。夕暮れ時で、どこかからクラクションが聞こえた。
「早うせえや!」
テンはイライラして急かした。
「1回しか、歌わ~~ん~か~ら、よ~~う聴~~い~と~けや~~♪」
「分かったから、早う歌わんかい!」
「お~~か~~し~、じゃ~~なか~った~~♪ 間~~違~え~~た~~~♪」
「分かりづらっ」
また、静かになった。今度は誰か人間が、テンたちの目の前を通った。親子連れのようだ。
「ねーママ、青葉ちゃんたち、どこ行っちゃったんだろうねー?」
幼稚園の年中と思しき男の子が、隣にいた母親を見上げながら言った。
「さあ、どこだろうねー?」
母親が男の子の方を見向きもせずに言った。
「あ、見て半月だよ、りょーちゃん!!」
「ホントだ―」
テンは目の前の親子連れの会話を聞きながら、焦れた。襲い掛かって、坂巻青葉の居場所を聞き出したくなった。しかし、彼らにはテンたちの姿は見えないはずだ。声も聴こえる訳がない。よって、彼らとは話ができない。話が今できるのは、目の前にいる元死神らしきビッシュだけだ。
ビッシュは親子連れが去ったのを確認すると、また歌いだした。
「お~~か~~し~~、じゃ~なか~~った~♪ ま~~た、間~~違~え~た~~♪ む~~か~~し~~~を~思~~い~出~し~~てご~ら~ん~~♪」
「やっと歌うたか。でも、長すぎや、歌が」
「あ~~な~~た~の~ほ~~んと~~う~Wo~~を~~Wo~~♪ イェイ、イェイ、イェイ♪ 終~~わり~~♪」
盛大にギターがかき鳴らされた。
「まだ続いてたんかい!!」
「じゃ~~、つ~たえ~~てね~~♪」
「お~~か~~し~~♪ しか頭に残っとらん……」
「じゃ~~ね~~♪」
いつの間にかビッシュはその場からいなくなっていた。
テンは叫んだ。
「こんなしょうもない歌、ドリム様に伝えなあかんの!? ダル――――――――――ッ!!」
最後までお読みいただきましてありがとうございました!!




