第37話 オレは自由だ
これは、書いてて超楽しかったです。
といっても、昨日原作ノートを一部書き直したんですが。
真・侍伝YAIBAのアニメ、あと2回で終わってしまうのがさびしいぐらい、
面白いです。面白さが突き抜けています。
おすすめです。
自分も、面白さを突き抜けられるように頑張ります。
いつもありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
「知らねえって言ってんだろ!!」
ヒロシはそう叫んでさっと見渡すと、夜闇の入ったフラスコを見つけ出して駆け出した。
「おっと、こいつ、飛べるんだっけな?」
空に浮かぶことを意識するとふわりと宙に浮いた。
「待って!! ダメよ!!」
エレミーが下の方で叫んでいるが、気にしない。どんどん高く昇って行った。
と、横に風に長い白い髭と髪の毛がものすごく吹かれている太ったおじいさんがいた。お上だ。
「げっ」
思わず、ヒロシは声に出す。
「わしから逃れようなんざ1000年早いわい!!」
ヒロシの横を回転して飛びながら、お上は言った。
仕方ない。ヒロシはフラスコのふたを開けて地へと放った。中身を口に含んで、フラスコも同じように放り捨てた。そのまま可能な限り加速していった。
「出すのじゃ、ヒロシ!!」
お上は、ヒロシの左脇腹に体当たりした。
「うえっぷ!!」
ぶつかられた勢いで空中に吐き出した夜闇を、ヒロシはどうにか両手で掴んだ。そしてその手をもう一度口に入れる。今度は夜闇ごくりと飲み干した。
「あ゛あ゛ーーーーーーーーー!!」
小さくなったお上は大きく叫んで、ヒロシの鼻の穴から入ろうとする。
「うるせえや! お上さん!!」
ヒロシは顔をぶんぶんと、銀の長髪ごと振った。お上は負けじとその髪を掴む。
「痛えや!! 離せ!!」
「離さんわい!! 生かし神!! 生かし神!! 起きよ!! 夜闇にのまれてはならぬ!! お前さん、憶えておろう!?」
ヒロシは、ダニエルが何故「ヒロシ」でなく「ダニエル」と呼ばれるようになったか、その理由を知ってた。何故、銀髪で、エメラルドグリーンの瞳なのかも。
すべて、「あの場所」から見ていたから。いや、今も見ているから。
ふと、記憶によぎる光景があった。ゴウゴウと夜に燃え盛る炎。倒れた何本もの電柱、枯れ木の中から聞こえるうめき声。
その記憶のすべてを振り払うように、ヒロシはまたも叫んだ。
「憶えてねえ!! オレは、『生かし神』じゃねえ!」
やがて雲間にそれらしきものが見えてきた。そこに向かって、ヒロシは突撃しようとしている。お上はいつの間にか何十人も増えて、ヒロシの周りを囲いながら、ヒロシと並んで飛んでいる、
もう少し、もう少しだ。 ヒロシは確信した。
あいつだ。あれの口の中にさえ飛び込めば……。
「オレは、オレは!!」
「やめるんじゃ、止まれい!!」
何十人もの「お上」が叫んだ。ものすごい声量だ。
「自由だあああーーーーーー!!!」
最後までお読みいただきましてありがとうございました!!




