第31話 女王の口づけ
バトルっぽいシーンです。がドリム……。
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「それは私のことだよ。私が、伝説の元死神だ」
そう言ったガーファンクルに向かって、ドリムは飛び蹴りを放った。と同時に、ガーファンクルは、手のひらをドリムの方に向けた。
「ぐわっっ!!」
ドリムが奇声を上げて、吹っ飛んだ。そのまま、落ちた場所から動けない。
「か、かはっ」
ドリムは口からドロリとした夜闇を吐きこぼした。
「やれやれ、闘う気はなかったがね」
ガーファンクルは、そう言いながら、ゆっくりと近づいてくる。
ほかの死神たちは、固唾をのんでその様子を見守っていた。
ドリムは吐きこぼした夜闇を、倒れたまま右手で掴んで、もう一度口に入れようとした。しかし、その手は夜闇を握ったまま、ガーファンクルに掴まれた。
「や、やめろ……」
ほとんど口の端だけでドリムは言った。
ガーファンクルは、あの瓶を持っていた。ドリムの右手の夜闇をぬるりと取り、その瓶の中に入れるとガーファンクルは蓋をした。
「今日はこれまでとしておこう。ガッハッハッハッハッハ!」
盛大に笑い声を上げながら、ガーファンクルは去っていった。
「ドリム様!!」
一人の死神が近づいた。ドリムの顔を覗き込んで、叫んだ。
「皆! 大変よ! ドリム様が……」
わらわらとほかの死神たちも寄ってきた。
ドリムは力を抜いて、ごろんとその場であお向けになった。
「もっと、もっと近づけ、イワン……」
「イワン」と呼ばれた茶色い髪の青年の死神は、
「は、はい……」
と言いながら、言われたとおりに恐る恐るドリムに近づいた。
「もっと、もっとだ……」
と、その時、ガッとイワンの顎をドリムは掴んだ。
「ドリム様、な、何を……!? ――――ッ」
周りの死神は、信じられない光景を目にしていた。死神の女王と一介の死神の口〇け……。
「まさか、イワンとドリム様ってそう、なのか!?」
「ええ!? 知らなかった! って見て!! イワンが!!」
そこでは、先ほどまで瀕死状態だったはずのドリムが、頭をもたげながら起き上がろうとしていた。
そしてイワンは、影も形もなかった。まるで彼は、最初からいなかったかのように。
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