第30話 秘密の共有者
とうとう30話まで来ました。
しかし50話まで書いたあたりで絶賛スランプ中です。
ラストは決まってるんですが途中がなかなか埋まらず。
しかし120話まで書くと決めているので今一生懸命考えているところです。
楽しみしていただけるとありがたいです。
いつもありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
ジャック・リーは素っ頓狂な声を上げた。
「はあ!? 誰だ、それ?」
「知っているだろう。お前の名前だ、ジャック・何とかさんよ」
ジャック・ボーガンはそう言った。
「ジャック・リーだ、憶えとけ」
全く、今日はなんて日だ。忘れていた、いや忘れたかった「ハタナカ」の言葉を2回も他人の口から聞くなんて……。そう思って、ジャック・リーは左手で頭を抱えた。
いや、正確には、他人ではないのだ。
「俺はなア、お前だよ。ジャック。何とかさんよ」
ボーガンは何か知っているというようにそう言って、ニヤリとした。
ジャックは思わず声を荒げた。
「だから、ジャック・リーだと言ってるだろう!!」
「ジャック」の名は昇天後、お上から頂いた。「リー」は通し名だ。
本当は……。
「お前は、ジャック・ボーガンでもあるんだよ」
「……知らないな」
「どうする気だ? お上に知られたら、お前は天界追放だな。ま、俺も死神界追放されてるが」
「ボーガン、言っとくが」
「何だ?」
「お前と、ジャック・リーという存在、つまり俺とは別人格だ。俺は霊医。お前は死神、いや元死神だ。全く違うだろう?」
「まあ、元、ということは俺も天界の存在の仲間入りを果たしたわけだ?」
「そうだ。お前が元死神だという証拠は、その剣にしかない」
ボーガンは、起き上がって、剣を手にした。
「こいつはな、人間を殺っちまえるんだよ」
「残念だろうが、もうそうはならない」
「は?」
「言ったろう、俺がちいと『細工をさせてもらった』って」
正確には、ラミア病院の道具課に、だが。
「どういう細工だ?」
「それを教えるかどうかは、お前がさっき言った『仕事』をするかどうか、で決まるな」
「選ばん、と言ったら?」
「その時は」
と、ジャックはメスの束を「ジャキッ」と鳴らした。
「メスでお前の魂を抜くまでよ。魂の抜けた霊体は風化して、滅びゆくのみだがな」
「……それは困る。俺には、惚れている、会いたい女がいるからなあ。この体がなくちゃ会いにも行けねえだろ?」
そう言って、ボーガンは少し顔を赤くした。
ボーガンの弱点は、惚れた女、か。とジャックは口の端だけで笑った。
「ほーう。そいつは、天界にいるのか? それとも死神界にいるのか?」
「……死神界だ。って何でお前にこんなこと話してんだ、俺!?」
急に慌てだすボーガンをよそに、ジャックは言い放った。
「ならば確定だ!!」
「何がだ?」
「お前が、『仕事』をすることがだよ」
最後までお読みいただきましてありがとうございました!!




