第21話 名無しのボクちゃん
しまい神様については、まだまだ明かされませんが。
『ボクちゃん』は今は名無しですが、後で名が付きます。
いつもありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
もう青葉が何をしているか、誰も視ることはできなかった。一人を除いて。
その一人は言った。
「ボクが行くよ」
「お前、誰だ?」
ジャック・リーが問うた。
「ボクは、過去生でいろんな名前があったけど、今度の名前は、まだ、分からないよ」
どう聞いても、小さな小さな、男の子と思しき声だった。
ダニエルは、その声に訊いた。
「どういうことです?」
「これから、ママの所に行くから」
「ママ、ですか?」
「そう、お姉ちゃんと、ボクの」
そこまで聞いて、ダニエルは首を傾げた。
「どこから声がしてるんですかね……?」
キョロキョロ見回したが、お上、ジャック、エレ三ーのほかには誰もいない。
「多分、空じゃな。もうその魂は下界へ行きかけておる。ま、行くには一つ試練があるがのぅ」
とお上は言った。
「青葉ちゃんが何をして、俺らに視えなくしたのか分かったら、教えてくれるか? ボクちゃんよ」
ジャックが言った。
「分かった。お姉ちゃんに会えて、『教えてもいいよ』って言われたら、教えるね!」
「りょーかい」
「待ってください、ボクちゃん。私も行きます!」
ダニエルは言った。
「何しに行くのじゃ?」
「人を殺してしまうような青葉の能力を治さなければならないでしょう?」
そう言ったダニエルの肩を、ジャックがポンポンと叩いた。
「ようやく生かし神としての自覚が現れてきたか……いい事だ」
「いや、そういうわけじゃありませんが……」
だいたい、生かし神がどういう役割を持つかもダニエルはまだ知らない。
と、窓の外を見ると一筋の光がどんどん近づいてくる。やがて光は窓を通り抜け、ダニエル達がいる部屋へと入ってきた。
「うわ!?」
小さな光ながらも、その明るさに思わずダニエルが声を出した。
「お兄さんは」
光がダニエルの目の前で瞬いた。
「まだだめ。お姉ちゃん、今視れないでしょ?」
「は、はあ、視れませんが」
「だからボクにしか、まだ見せたくないと思うんだ」
「はい」
「お姉ちゃんが、ボク以外にも見せてもいいってなったら、お兄さんたちを読んであげる。だからそれまでお兄さんたちは待っててくれる?」
光はそう言いながらダニエルの周りを、一周すると、また窓の外へと飛び出した。
「分かりました。では青葉のこと、よろしくお願いいたします」
「はーい」
「2つ質問いいか?」
ジャックが言った。
「お前、どっから来た? 下界に行く試練って何だ?」
「太陽さんから分かれてきたよ。うーん、試練は、『しまい神』様のことかなー? ボク、今からしまい神様の所に行くんだー!! ボク、地球が久しぶりだから、ワクワクする―!」
光はもう一度大きく光ると、山の方へと消えていった。
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