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第20話 封じるべきもの

とうとう20話です。

透視能力というのも遠隔かどうかにかかわらず存在します。


2週間お休みをいただきます。連載再開は4月13日の昼頃の予定です。


いつもありがとうございます。

よろしくお願いいたします。

「ご事情はよく分かりました。お引き受けしましょう。青葉ちゃんとやらをここへ」


 広いお屋敷だった。と言っても、青葉の焼けた家のような洋風ではなく、和を前面に押し出した、青葉からするとお寺のようなお屋敷だった。


 桐子は

「お引き受けしましょう」

の一言を聞いて、ほっと胸をなでおろした。礼をすると、ふすまを開けて青葉を招き入れた。


「……ほう。これはこれは、強力なこと」

紫の着物を着た老婆は、青葉を見やるなりそう言った。

「やはり、そうでしたか!?」

桐子が言った。


 青葉には、自分の左手のことを言っているのが、すぐ分かった。


「この子も、あの方の血を継いでいる、しかし、微力。何者かが、力を強めた跡が()える。一人は、……坊ちゃまによく似ておられる」

いつの間にか老婆は目を瞑っていて、独り言のようにそう言った。


「父……。 に……」

桐子は口に手を当てた。まさか……お父様が……?


「桐子さん、あなたは見えない力は信じないと、かつて私に仰いましたね」

桐子が中学生の頃だ。

「はい」

「見えない力を、青葉ちゃんを、娘さんを通して信じなさい、と天から言われているのかもしれません」


 信じざるを得なかった。退院した青葉が、医院に来た新規の患者の悪いところを。見てもいないのに言い当てたからだ。稔が診察した結果と、一致しているものも多かった。しかし、青葉は言うのだ。


『その人、もう治ってる。でもすぐ死んじゃう』


 あとは、黙って涙を流して、泣いているばかりだった。理由を問うても、言わないのだ。そして実際その患者が来なくなって連絡すると、ご家族から死んだという知らせが入った。


 桐子には気味が悪かった。桐子には何の特殊な力もなかった。むしろそれでよかったと思っていた。父、倫太郎のようにはなりたくなかったからだ。桐子の父は、特殊な力を使った故、あまりにも早く命を落とした、と桐子は思っていた。怒りっぽい中にも優しさが垣間見える父。そんな父を殺したその能力を桐子は恨んでいたから。


 桐子は成人して5年後に、同じく何も特殊な能力のない医師・稔と出会い、恋に落ち、さらにその4年後に結婚した。そのさらに4年後に出来た子が青葉だ。その青葉が、何か超能力のような特殊な力を持っている?


――封じなければ、悪いことが起きる。


医院の話の件のあと、桐子はとっさにそう思った。だから医院を休業して、東京から5時間以上かけて、青森の大ばあさまの家まで来たのだ。最も、大ばあ様は今は住んでいないが。


「でも、青葉の、この子の力は、間違っています。だから……」

桐子は懇願するように言った。青葉はそれを聞いて傷ついた。


「ひとつ言っておきますが」

老婆は目を開けた。

「何ですか?」

「私は、天の行うことに、『間違い』は存在しないと思っています。私たち人間が、『間違い』とするだけで。だから微力ながらもその力を与えられ、天によって強められたこの子にも、何やら運命(さだめ)があるのやもしれません。それでも、封じるべきものと思われますか?」

最後までお読みくださいましてありがとうございました!!


次回をお楽しみに!

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