第15話 光のおじいさん
このおじいさん、「お上」ですが、書いてていろいろと面白いです。
このあとも、「光」ならではの特徴がたくさん出てきますのでお楽しみに!
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よろしくお願いいたします。
飛んで行った瓶は、中でくるくると回り、水槽の中へとその中身をこぼした。またくるくると回りながら、ジャック・リーの足元へと降りて行った。
「ジャック、わしは『生かし神を呼び戻せ』とは言ったが、『殺せ』とは言っとらん!!」
いつの間にか、大きな、頭もひげもフサフサで、光ったローブをまとったおじいさんがそこにいた。ジャックは細いが大柄な方なのに、おじいさんはさらに大柄で、しかも太っていた。それにしても大柄すぎる。天井に頭がぶつかりそうになって、かがんでいる。
「……おっと。ちょっと大きすぎたか。……待つのじゃ、今小さくするでの」
ダニエルが驚いて天井を見上げていると、その視界からおじいさんの巨大な頭が消えた。
「これでよし、と」
おじいさんはシュルシュルと小さくなっていった。今度は身長がジャックの腰の高さほどになった。
「お上、驚かせんでくださいよ。いつからいらしたんですか?」
ジャックがポリポリと禿げ頭をかきながら問うた。
「生かし神に会うのが待ちきれんでの。ジャック、お前さんが持っていた注射器の中にずっとおったんじゃ」
「え!?」
ジャック、エレミー、ダニエルの声がハモった。
「い、いつの間に!?」
ジャックは、慌てていた。エレミーは口に手を当てている。ダニエルは何も言えない。ダニエルは、既に、元の死神の姿でお上と会っていたことになる。
「わしは、光じゃからの。大きくなったり、小さくなったり、明るくなったり、暗くなったりはお手のもんよ。光の入れぬところは無いからの」
言いながら、お上自体が明るくなったり暗くなったりした。
「お上、ですか……?」
ダニエルは恐る恐る訊いた。
「ほうよ、生かし神よ、わしを覚えとるか?」
「いえ、全く記憶にございません」
本当にない。こんな白く光ったおじいさんは。
「ほうじゃろう、ほうじゃろう。わしも、お前さんを『生かし神』としか覚えとらなんだ」
この人、認知症でしょうか? と言いたくなるのをこらえた。相手は「お上」なのだ。失礼すぎる。
「だからなおさら早う会いとうてのう。こっそり隠れとったわ」
ホッホッホッ、とお上は笑った。と思ったら、急に真顔になって、エレミーの方を向いた。
「エレミー、とうとう完成したんじゃな」
エレミーはビシッと立って、敬礼した。
「はっ。完成に至りました。これで、次の実験段階をクリアできれば、量産する予定です」
「ほうじゃな。よろしく頼むぞ。じゃが……」
ここでお上はゆっくりと三人を見回した。
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