お兄ちゃん~天倉暴走ver~
また別の日の堕落部。
堕落部の4人でまったりしていたところに、扉がガラガラ音を立てながら開く。
「お兄ちゃん! やっと見つけたよー」
僕の愛しの妹、志穂である。
「お兄ちゃんが高等部でイジメられてるのかなと心配して来たってわけですよ」
「何で僕が高等部でイジメられてると思ったんだ?」
僕は当たり前の疑問を当たり前に問う。
「お兄ちゃん、昨日突然コンビニのアイスとプリン買ってきてさ、しかも両方高いやつ!」
「それで志穂にどっちもくれるなんて、イジメられてるとしか思えないじゃん!!」
志穂はどういう思考回路をしているのだろうか。
兄妹とはいえ理解出来ないこともある。
えっ、誰だシスコンって言ったのは?
どっちかといえば、志穂の方がブラコンだろう。
「ほう、天倉に妹がいるとは聞いてなかったのだが」
浮気を知った妻なんじゃないかと錯覚してしまうくらいの恐怖を霞ヶ原先輩から感じた。
「まぁ、聞かれなかったので……」
霞ヶ原先輩に志穂の存在を知られたくないに決まっている。
兄妹共々何をされるか分からないからだ。
「お茶、もう1つ用意しなきゃですね」
竜ヶ岬のこの笑顔が無ければ、僕は恐怖で気絶していただろう。
「いやー、お兄ちゃんももっと早くに言ってくれてれば、志穂ももっとダラダラ出来たのにー」
志穂はもう堕落部に溶け込んで、くつろぎ始めた。
「天倉には志穂ちゃんみたいな妹は勿体ないわよ。アタシが責任もって面倒みるから!」
鶴見がいつもの調子で僕に対抗してくる。
「もしかしてあなたでしたか?」
何故か志穂が鶴見に向かって不機嫌そうに問いかけた。
「えっ、なんの事かしら?」
何を言われてるのかさっぱりというのが鶴見の顔に書いてある。
「お兄ちゃんをイジメてる犯人です!!」
確かに、それは正しい。
僕は幾度となく鶴見の攻撃の被害にあっているのだから。
その様子を誰かが見ていてもおかしくはない。
傍から見たらイジメに見えるだろう。
なら、その見ていた人も止めてくれたら良かったのではないだろうか。
傍観は日本人の悪い癖だ。
「いや──そんなことないわよ」
鶴見にも心当たりがあるようだ。
そして、鶴見は僕の方をこっそり睨みつけてくる。
「そうだ、志穂くんも私たちの部活に入部しないか?」
霞ヶ原先輩が何か思いついたかのように入部を提案する。
「鶴見から大切なお兄さんを志穂くんが守るといい」
霞ヶ原先輩の言ってることが無茶苦茶である。
「分かりました。志穂も入部します! でも、志穂は中等部3年ですけど入部出来るんですか?」
志穂は僕の通っている高校に附属している中学に通っているのだ。
そんなことより、僕は志穂の入部を即決するその決断力は褒めたいと思った。
「問題ない。この堕落部という部活はディベート部の部室を占拠しているだけで、正式な部活ではないからな!」
霞ヶ原先輩が誇らしげに話す。
「えっ!? じゃあ僕が書いた入部届けは??」
僕はツッコまずにはいられなかった。
「あぁ、アレは気持ちの問題的なやつだな」
これを聞いて僕は頭を抱えることしか出来なかった。
フリーズしなかったのは、堕落部に慣れたの証拠かもしれない。
こんなことに慣れたくはなかったのだが、今の僕ならため息くらいで済みそうである。
成長というのか慣れというのか……




