表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺女の走馬灯  作者: 人生から降りるボタン
44/50

44)縁もゆかりも無い実家

私が1人暮らしを始めてから暫くして、兄が九州に転勤する事になった。


母とは電話でたまに連絡を取り合う程度になっており、私は転籍してから3年後くらいから土日祝休みからシフト制になっていたので、長期休暇も取りづらい状況だった。


そのため、実家への帰省は正月くらいで、それも毎年ではなかった。





兄の転勤の話は母から聞いた。兄と私は一切連絡を取り合う仲ではなかった。


母は、「私はどうしたら良いんだろう」と私に相談してきた。


私は悩んだ。正直、また母と暮らして快適な1人暮らしの生活を手放す選択はしたくなかった。





私は母に、「兄に着いていけば?」と伝えた。


実際、優良大手企業に勤めている兄の方が稼ぎは断然良いはずだ。兄を選んだ方が生活は安定する事は間違いなかった。


母はあまり食い下がらず、そうか・・・と言って電話を切った。





その後、兄と母は九州へと引っ越して行った。


この頃から、私は「実家はどちらに?」と聞かれる度に回答に困っていた。


母が住んでいる九州と答えると、「九州出身なんですね!」と大抵返ってくるからだ。


でも私は九州に縁もゆかりも無い。沖縄には修学旅行で行った事はあるが、九州には一度たりとも足を踏み入れた事は無かった。





いちいち「出身は千葉だけど親が引っ越して今は九州に~」なんて説明をするのが面倒くさかった。


もう少し細かい説明になると、一応小5までは東京に住んでいたので、育ちは東京なのか千葉なのかもよく分からなかった。


私は段々と適当になっていき、「東京生まれ、千葉育ち、実家は今は九州で~す☆」などと答えていた。





私が初めて九州の実家を訪れたのは、兄の結婚式のタイミングになった。


兄は転勤後、しれっと九州育ちのスタイルの良い女性をゲットし、幸せを掴み取っていた。やはり私は兄に勝てる要素は一つも無かった。





兄は結婚式で、親族は母と私と伯母を招待していた。


しかし、伯母の手元に招待状が届かないというアクシデントが発生した。送り忘れていたらしい。


伯母は兄から結婚式の日取りを聞いておらず、直前まで誰もそのハプニングに気付かず、最終的に伯母が泊まるホテルと飛行機は私が慌てて手配する事となった。





また、母は母で結婚式には行かない、と言い出していた。正直これは想定内だった。


母の性格は長年一緒に暮らしてきたので熟知している。私は前日夜遅くまで粘って母を説得し、どうにか母を結婚式場まで連れ出した。





下手したら新郎の親族は妹である私一人という事態になりかねなかった。


こういう時適当な兄には私も腹が立ち、私の振袖のレンタル代をご祝儀代わりとして、ご祝儀袋は持参しなかった。一応事前に兄には伝えて了承は得ていたが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ