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底辺女の走馬灯  作者: 人生から降りるボタン
33/50

33)就活生の大冒険

やがて、駅のシャッターが下ろされた。いよいよ退路を断たれた。


近くのコンビニも軒並みシャッターが下ろされ、食料を調達する事も出来なかった。





すっかり夜になり途方に暮れていると、難民を受け入れているホテルが近くにあるらしい、という噂話を耳にした。相変わらず携帯は繫がらなかったため、私はひとまず公衆電話の列に並び、母に電話を掛けた。もう使う事は無いだろうと思っていたテレホンカードが役に立った。


母は凄く心配していた。家の中はめちゃくちゃだが、母は無事との事で安心した。私は、噂で聞いたホテルに向かってみる、という事を伝えた。心細くて電話で泣いてしまった。私は今でもとても泣き虫だ。





ホテルの場所は知らなかったので、とりあえず人が向かう先に着いて行った。思った以上に立派なホテルがあった。外で立っているホテルマンに、ご宿泊ですか?と聞かれたが、帰れなくて・・・というと中に通してくれた。





ホテルでは毛布の貸し出しをしてくれていた。カウンターのコンセントからは携帯の充電器も貸し出してくれていた。


私の携帯も充電が残り少なかったので、電気をお借りする事にした。そして毛布を1枚受け取った。


大宴会場では、大勢の難民が床に毛布を敷いて寝ていた。この日の夜はとても長く感じた。ちょこちょこ携帯を見に、カウンターに向かった。カウンターでは白湯を配ってくれていたので、ありがたく頂戴した。


当時はmixiが流行っていて、ちょこちょこ掲示板を見たり、友達とメールをしたりして時間をつぶしていた。


そして朝方4時頃、私はホテルを出発した。





動いている電車があるらしい、とこれまた噂で聞いたので、同じように人が歩く方向に向かって私も歩き出した。iPodを持っていたので、音楽を聴きながら気分を上げた。


途中、階段が崩れている歩道橋に遭遇した。どうやらこれを渡らなければいけないようだった。


私はスカートにヒールだったが、大股で崩れた歩道橋をよじ登り渡った。すると降りる側でも階段が途中で崩れていたので、同様にヒールで階段を飛び降りた。


そこから2時間ほど歩いた。途中、営業しているコンビニがあったので、サンドイッチを買った。商品は殆ど品切れだった。歩きながらサンドイッチを食べた。





途中から道が分からなくなり、向かいから歩いて来た親子連れに駅までの道のりを聞いたりして、ようやく駅に辿り着いた。履き慣れないヒール靴で足が痛かった。もう脱いでしまおうかとも思ったが、それはそれで痛そうだったのでそのまま履いていた。


駅は駅で、もの凄く混雑していた。乗車する順番待ちをして、辛抱強く自宅までの道のりをじわじわと辿っていった。





家の最寄り駅に着いてまず驚いたのは、道路や建物がどこも崩壊していなかった事だった。


家に着いてからは、本棚等が倒れていて部屋中ぐちゃぐちゃだったが、とりあえずクタクタだったのでニュースを見ながら暖かい布団の中で眠りについた。朝の8時を回っていた。





もうスーツを着るのはこりごりだと思い、私は就活する気が無くなった。

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