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底辺女の走馬灯  作者: 人生から降りるボタン
32/50

32)就活真っただ中の東日本大震災

2社目は月給18万円の事務に応募した。当時、自宅からそれなりに近い距離で、未経験OKの事務職での月給18万円は、ハローワークの求人の中だと一番高かった。


問題は、労働時間の長さにあった。みなし残業制度を採用していて、定時が9時~20時とあった。


世間知らずの私は、みなし残業がどういうものか分かっておらず、また労働時間も「別に早く家に帰ったところで他にやる事も無いし」と特に気にしていなかった。





面接は面接官1名に対し、3名で受けた。私の席は真ん中だったのだが、両サイドがあまりにもポンコツだったので、正直勝ったな、と思った。


面接時にも労働時間の長さを念を押して説明され、それでも大丈夫かと聞かれた。私ははっきりと、「大丈夫です!」と答えて、面接は終了した。





3社目は、新浦安駅付近の工場内の事務に応募した。


面接日当日、駅に着いたら一度連絡して欲しいと言われていたのだが、少し早く着き過ぎてしまったので、少しだけ駅周辺を散策しようと思った。


駅前にはバスターミナルがあったので、とりあえずグルっと1周回ってみようと思った。少し歩いていると、異変に気付いた。幼稚園児が先生の指示に従い、建物から集団で勢い良く出てきたのだ。


最初は避難訓練だと思った。とても鬼気迫る様子だったので、ずいぶんと熱心だな、などと思っていたら、急に足元がグラついた。この時に、地震だと気付いた。今まで経験した事も無い強い揺れだった。





今立っている地面がどんどん地割れしていった。建物にも近い距離だったので、窓ガラスが割れて落ちてくる可能性も瞬時に考え、バスターミナルの中心辺りまで慌てて走って逃げた。


中心まで来たら、しゃがんで揺れが収まるのを待った。先ほど歩いていた目の前の道路はグシャグシャに崩壊し、地面の下からは泥水が湧き出て、止まっていたタクシーは崩壊した道路にタイヤが挟まり、全く動けなくなっていた。


そんな光景を暫く呆然と見ていると、第二波の地震がきた。デパートがプリンのようにプルプルと揺れているのをぼーっと見ていた。





新浦安は埋立地のため、被害は甚大だった。でも、その時の私は新浦安にあまり来た事が無く、埋立地だという発想も無かったので、日本全国この有様なのかと思っていた。


あぁ、日本おわた・・・と本気で思った。





少し冷静になり、とりあえず面接先に電話をしなければと掛けてみるも、全く通じなかった。正直、この大地震で面接どころではないだろうと思い、行くのは諦めた。こういう時私は諦めが早い。


問題はどうやって帰宅するかだった。電車は完全に止まっていた。私の家方面のバスは無く、タクシー乗り場で待つも一向に来ない。その時のタクシーは、タクシー乗り場に着く前に途中で拾われてしまっていたようだった。


徐々に日が暮れ、気温が下がってきた。私はリクルートスーツに薄いトレンチコート、下はスカートとストッキングに履き慣れないヒール靴という恰好だった。海に近いので、風がとても冷たかった。

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