え!?こうゆうのってだいたいお決まりの展開があるんじゃないの!?
目覚めると周りは森に囲まれ、ふわふわな芝生に横たわっていた。
周囲では小鳥のさえずりが華麗な歌声を響かせている。
木々の間から吹き込まれる風が、私を大地から目覚めさせてくれた。
「ここは一体…。私は…誰なのか」
目覚めたはいいものの、自分が何者でありここは何処なのか検討もつかぬ。
ボロボロの布衣装と共に森を抜けることを決める。
しばらく歩くと集落が見えてきた。そして集落へ入ると門番のじいさんが尋ねてきた。
「はて、その格好からするに、、お主は冒険者かのぉ?」
"冒険者?"そうか、この世界では魔物を駆逐するために冒険者がいるというわけか。
「すまないがじいさん、私は記憶を無くしてしまっているらしい。そこで私は装備から察するに冒険者であるらしい。どこへ行けばよいだろうか」
「それなら村の中心にあるギルドへ行くがよい」
なるほど、そこへ行けば冒険者としての登録ができるわけか。
じいさんにお礼を言って村の中心へ歩く。
ギルドに着くと受付には耳の長い女性(エルフという種族らしい)が立っていた。
「あら、冒険者様でいらっしゃいますか。しかし見ない顔ですがどこから来たのでしょう?」
「悪いが記憶を無くしてしまっていて何者か分からない。私は北の山で目覚めてここへ来たわけだ」
すると女性は驚いた。
「北の山って、まさか境山からですの?!あそこは太古より強力な結界により誰も立ち入ることが出来ないはずですの!」
と言うのでますます自分が何者であるか分からなくなった。
「経緯は知らないが取り敢えず私を冒険者登録させて欲しい。面倒なことは考えたくないんだよ。」
と言うと不思議そうではあったが女性は業務をそそくさとこなし登録の準備を始めた。
「境山についてはまた後日聞かせてもらうとして、今から冒険者登録を始めますので部屋の奥まで付いてきてください。」
そう言うと女性に受付の奥の部屋へ招かれた。
まるで洞窟のようなほこりっぽい通路を通り、少し開けた場所に着いた。
その広場の中心には青く光る透明な球体が宙に浮かんでいて時折激しく発光する。
「これは冒険者になる方のステータスを測るための魔法器具でございます。その名も"占戦珠"。ステータスは総合評価でA〜Eの5段階でランク付けされます。これは天により授かりし潜在的な力であり、これを基にどこで仕えるかなどが判断されます。」
「ほほう、つまりは生まれた時にはもう実力が決まっているわけか。ちなみにAになるとどのような仕事ができるのだ?」
「Aランクの冒険者様自体とてつもなく稀で、1つの国につき10年に1人の逸材とされています。そして王都では"覇者"という役職に就き、主に国王の護衛や一定の期間、近郊の村で魔獣討伐部隊に組まれるなど様々でありますがどれも権力が強大であります。一説によると周辺諸国の王と同等かそれ以上の権力をお持ちなどとか。」
「王都?すまないが地理感が無いものでな。この村はなんという国に属しているのだ?」
「はい、この村は神聖デトリクト王国という世界最大の国に属しており、その中のピュー村という所でございます。デトリクト王国は周辺の複数の王国を合併しており、独自の文化がそれぞれ栄えています。」
「なるほど、とりあえず冒険者の最高官職というのが覇者というものなのだな。」
「いえ、これも一説によりますがその"上"が存在するとされています。姿をしっかり表した事はないのですが、元覇者の方によれば確かに"上"がいるそうです。その名も"神官"。その方々はこの世の森羅万象を操り神話級の魔法を扱えるそうなのです。」
「ほほう、色々と聞いてすまなかったな。しかし、この世界について少し興味が出てきた。さあ、私のステータスを測ろうとするか。」
「そうですね。貴方なら、きっと素晴らしいステータスをお持ちのはずです。それでは、占戦珠に手を触れてください。」
そうして私は占戦珠に手を触れた。すると広場は瞬く間に青白く光り、私はその光に飲み込まれた。
「……オヌシハ、マサカ…」
よく聞き取れなかったのだが確かに聞こえた。
「誰だ?誰かいるのか!?」
しかし姿は見えない。
「…イヤ……ナワケガアルマイ…カレハショウメツシタノダ」
消滅?一体なんのことだ??
「おい、何を言っているんだ?お前は誰なんだ!」
すると青白い光は突然消え、視界が真っ暗になる。
「……サァ、イマコソソノトキダ。"目覚めよ"」
「!?」
すると視界はまた青白く光り、気が付くと私は広場に立っていた。
「なんだったんだ、今の…」
「どうしましたか?占戦珠が光るのは普通のことですよ?」
私以外の者は占戦珠を触れてから一瞬の時間しか経っていないようだった。
すると占戦珠から古臭い1枚の紙が出てきた。
女性に渡され紙の内容を確認した。
「…E…ランク…だと…!?」
つづく