プロローグ1
とくに過激な描写をするつもりはありませんが、バトルが多いので残酷な描写をする可能性はあります。そこだけご注意頂いて、もし楽しんでいただければ幸いです。
プロローグ:月のない夜。曇天の夜。静まり返った一本の道。両脇に高さ1メートル五十センチほどの石灯篭が立ち並び、灰色の石畳で舗装されている。幅八メートル程度。辺りが暗いため、道の始まりも終わりも見えない(その方向も二択しかないところで分からない。)だが、そんな場所にも人間が二人居た。万里の長城のような(ただし山間にはあるが標高は低く、道の両脇は崖(もしくは城壁で)隔たっておらず、低い草むらが続いている)の中に、二十メートル程間を開けて対峙する二人の人間。その服装は極めて異質だ。一人は、まあ女性だろうが、似ているものでは朝鮮半島のチマ・チョゴリに近いが、何民族のものかわからない服で、人種は東洋人。背丈は東洋女性としては高くも低くもない。腰まで真っ直ぐに伸びた黒髪は東洋女性の美形の頂点に近い。眼尻はとても眠たそうに(さもなくば面倒くさそうに)垂れ下がり、両腕もだらりと下がっている。瞳は黒いが感情が無いか死んでいるが如く透きとおり、瞳孔の奥は灰色のようでもある。もう一人の人種も東洋人。太刀のような武器を背に固定し、軍服のようなデザインの真黒色の服を着て、眉、眉間、鼻、口元の歪み具合など、全てにおいて厳格そうな(見方によっては賢者って感じにもなるかも)顔をした日本の武士のような雰囲気の男。こちらは優に百九十センチを超えている。
女が両腕を左右に振り上げると、双方の袖の中から長さが10メートルはある、先端に立体のひし形に尖った黒い石のようなものが付いた鎖のような武器を飛び出し、それが前後左右に広がり、軌道を描いて石畳や灯篭の隙間に引っ掛かった。長さが余った部分が蚯蚓の市街のように道端に横たわる。
「さあ、楽しいゲームを始めようじゃないか」
女は冷水のような声で言った。
男は上半身を大きく振りかぶって、無言で重そうな刀身を引き抜いた。
木々も眠る静かな夜、それは平和な世界の裏側で始まる、戦争の幕開けだった。
もし残酷な描写でショックを受けた人がいたなら、感想をくれたらもう少し誰でも読みやすいよう配慮するつもりです。暴言は御免ですが。