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そして彼は【悪】になる  作者: 徹夜明け午後3時半の憂鬱
序章 【悪】が生まれた時
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勇者ヒロインズの女子会?(side式見モモハ)

「ソウジ君はまだ起きないの?」


 魔王城で戦った道化クラウンによって昏睡状態におちいっている。

あれからもう3日も目を覚ましていない。


「私にイツキみたいな力があれば…」


 イツキはどんな時も諦めない人だった。簡単に言えば努力の天才という奴だ。

 一度決めたことは新年を持ってやり遂げる。剣術も一通り憶えていた。イツキが、イツにぃが居れば、あの道化師を名乗る怪物にも勝てたに決まっている。


「イツキさんってどういう人なんですか?」


 三葉ちゃんがソウジくんの額の汗をぬぐいながら聞いて来た。口に出てしまっていたらしい。


「あ、それ私も気になります。幼馴染なんですよね?」


 リオちゃんも興味があるらしく、こちらを向いて目を輝かせている。


「教えてくださいよー」


 千冬ちゃんも聴く気満々みたいだ。


「ちょうど時間もあることですしね、ぜひお話くださる?」

「わ、私も、きいてみたい、です」


 ソウジくんと同じく、ベットで寝かされている、ウチのパーティーの盾役、楯山水樹タテヤマ・ミズキちゃんと、これまた休まされている探索者シーカー渡良瀬千鶴ワタラセ・チズルちゃんも耳を傾けている。


「どこから話せばいいの?」


 さっきまでの鬱蒼うっそうとした雰囲気は消え、すっかり女子会トークモードに入ってしまった皆んな。これは話さないわけにはいかないだろうな。


「2人の出会いから‼︎」

「出会いかぁ、そこから話そうか。あんま面白くないと思うけど…」


 ***


 私が彼と初めて会ったのは私が家の稽古が嫌で逃げ出したとき。まだ3歳の時だった。

 逃げ出した時に隣の家の庭に入っちゃって、その時に庭で花壇を作ってたのがイツキだった。


「なにやってるの?」


 突然現れた私には目をくれずにイツキは花に水をあげていた。


「花に水をあげてる」

「たのしいの?」

「別に、それほど」


 その時のイツキは多分それほど花に興味があったわけではなかった。ただ、水を上げれば育つから、そんな理由で花に水をあげていた。

 そしてイツキを見て子供の頃の私は思ったのだ。彼をスケープゴードにすれば稽古から逃げられるのではないかと。


「わたしのいえで、けんをおぼえない?」

「それは面白い?」

「きっと面白いよ‼︎」

 そう言って私は彼を家に連れて行った。

「モモハ、その子は?」

「あたらしい、せいとさんです」

「初めまして、霊萊イツキです。剣を教えて下さると聞いてついてきました」


 やけに丁寧な言い方だった。多分この頃からイツキは異常だったんだろう。


「はははそうか、君はモモハに言われてついてきたんだね。では稽古を見せよう。まずは形稽古からだ。モモハ、手本を見せておやり」


 とまあ、このように、私の作戦は見事に失敗して稽古させられちゃったんだけど、イツキが才能を発揮し出したのはそれから1ヶ月が立ったときかな。

 お父さんとの立会いで一本取れるようになった。

 そしてそれからたった半年で式見流剣術の免許皆伝になった、なってしまった。

 たったの半年で室町時代から続いた式見流剣術を完全に覚えて身につけてしまったの。

 それから私はイツキの後ろを追うようになった。幼稚園に入園した時も、小学校に入学してからもずっと。

 時々中国だったりヨーロッパだったりにふらっと飛びだっては拳法だの工芸品作りだのを覚えて帰ってくるの。

 それが小学生のときかなぁ。


「ちょっとストーップ‼︎」


 私も乗ってきたところでリオちゃんからストップがかかった。


「何かおかしかった?」

「いや、色々とおかしいよ‼︎なんなのそのフリーダムすぎるお兄さんは⁉︎ふらっと海外って何⁉なんで拳法とか工芸品⁉︎なんの関わりもないわよね⁉︎それにあれよね⁈式見流剣術って既にいくつかの技が失伝してる剣術だよね⁉︎それの皆伝ってどういうこと⁉︎」

「リオちゃん詳しいね、もしかして興味ある?」

「いいから質問に答える‼︎」

「ああ、イツキはそれだけ才能があったんだよ。それにね、失伝したって言ってもそれは誰も覚えられなかったから忘れられてだけで家の倉庫に秘伝書自体は残されててね、イツキはそれを見つけて勝手に覚えちゃったんだ」

「それは…なんというか凄いわね。そんな人を天才と呼ぶのかしら?」

「イツキが聞いたら否定するだろうけどね」


 私もいつだったかにイツキに言ったことがある。イツキは天才だからなんでも出来るんだって。


「イツキに言わせてみれば100%の努力をして何かに注ぎ込めば二流から一流程度にはなれるらしいよ」


 具体的には睡眠時間を削って必要最小限にして、さらには血を吐くじゃ足りないレベルまで努力すればらしいけどね。


「なんていうか凄いお兄さんですねー」

「そういう人がいるのなら私達も負けてられませんね」

「そうですわね。モモハさん。怪我が治ったら私に稽古をつけていただけませんこと?」

「い、良いお兄さん、ですね」


 イツキが褒められていると私も嬉しい。やっぱりイツキは私の自慢の兄貴分だ。


「うん!私の大切で自慢できる兄貴分だよ‼︎」


 今日1の笑顔で答えた。


「モモハ先輩‼︎続き、続きお願いします」


 それから女神ルチアが現界したと知らせを受けるまでしばらく女子会トークは続いた。

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